狼と香辛料 第13話「狼と新たな旅立ち」

 あれほど引っ張っていた桃の蜂蜜漬けはどうなった?。
 解決編。ロレンスはまた一商人の立場に戻り、ホロと夫婦漫談を続けることになりましたとさ。おわり。
 初めは中世の経済についてそれなりの薀蓄モノなのかと思いながら色々考えながら視聴していたんだけど、ざっと振り返ってみると、とってつけたようにしか感じられなかった。もちろん商売を物語のスパイスにして新機軸を打ち出した心意気は買いますが、たぶん色々な時代の異なる前提の商慣行だの経済システムが混じっていそうなので間に受けるのはほどほどにしといたほうがいいような気がする。SFがサイエンス・フィクションではなく、あくまでもサイエンティフィックであるぐらいに捉えておいたほうがいい。ただし、視聴者はあくまでロレンス視点になるだろうから、自分があたかも金儲けの場できったはったをやっているような臨場感を味あわせてくれるのは、なかなかにしていい切り口だと思った。
 あとはなんといっても機知に富むホロとロレンスの掛け合い夫婦漫談だろう。世の中惚れたはれたのテキストばかりだが、なんといっても品がいい。いみじくもホロが繰り返していたようにロレンスはあまりにも人がよすぎるというか、現代はともかくあんなキレイ事が中世に存在したはずがなかろうと思うのだが、そこらへん成長期を過ぎ成熟して没落期にあたる日本の視聴者に相応しい構成だったと思う。ヨーロッパ中世がモデルだとは思うんだが、実は話の構造自体は日本の昔話の寄せ集めという形になっているのも面白い。大きな一つの物語としてみると物足りないというか、拍子抜けではある。
 しかし、商売やそれに伴う冒険部分ではスパイシーではあるものの、レギュラーキャラの間では陰マモのようにゆるやかな日常がひたすら繰り返されるものとして愛される物語にはなりそうである。が、たぶん続編は作られなさそうではある。かけあい部分で改良を重ねても、わかる人にはわかるという作品にしかならなくって、大多数の人には飽きられるという感じになるだろう。そうなるといつを退き時にするかになるわけで、どうせ人気のピークが最初にしかなくて、あとは下がるばかりというのが予測できるのであれば第1期でやめておくのは戦略として正しいとは思う。が、Ariaのように第3期ぐらいまでやってくれると、自分としてはとても嬉しい。おもろ+。