JMM | 村上龍電子本製作所 うーん、どうなんだろ。

 JMMのメルマガ登録をしていない人は、内容を見るには一ヶ月ほど待ってもらわなくてはならないわけだが、昨今喧しい医療崩壊への処方箋を経済屋に聞くのがお題。自分のかゝりつけの医師の話だと、30代中盤にならないと金銭的にペイしないというお話を念頭に。
 今朝のラジオで、高齢者の医療保険の増額についてニュースがあった。結局今の医療保険制度というのは、収入のある人が病人の面倒を見るという、受益者負担の原則から激しく逸脱するものである。若者だろうと老人だと、病気にならなければ払い損になるというわけで、言うなれば、「健康な人からの収奪」によって成り立っていると言える。高齢者の割合が多くなると医療費が増えるということだが、これにしたって一度も病気をしない老人もいるわけで、ここらへんまだまだ明らかになっていない闇はありそうである。
 また、今問題になっているのが医療従事者の過労の問題がある。そして報酬の多寡にかなりの差があるということも問題となる。…という風に大雑把に見たらいいのかな。あとはモンペの問題と。
 しかし、どうもいろいろ考えてみると、教育よりは医療のほうがまだ逃げ道があるのかなと思わないでもない。医師の場合だと、病院からの引き上げというのが充分武器になっているようなのだ。別にモンペがわがまゝを言っても構いませんよ、どうせ医師なんて足りないんだから、もっと条件のよいところに行けば済む話ですよ、医者がいなくなって困るのは患者でしょというのが通用しているということなんだろう。教師だと潰しが効かない上に、社会的な地位も医師に比べればはるかに低く、逃げ場がない。医師の場合だと逃げ場があるということなんだろう。
 そういや教師の自殺はよく聞くが、医師の自殺はあまり聞かないな。求められる専門知識や命を預かる上での責任は教師以上にあり、激務であることに間違いはなかろう。が、そこに教師と違って活路はありそうである。
 で、投稿者の提言なり予測なりなんだが、これまた勝手な言い分が多かった。医者を強制的に地方医療に駆り出せだの、自治体職員の給料は高いから減らせだの、結局他人の負担で何とかしろという無責任発言が、今回はかなりの論者に多かった。過重労働に耐えている医師の場合、かなり彼らの善意に負うところが大きいと思われるだけに、経済屋の勝手な言い分ってのは、もしかすると罪以上のものなのかもしれないと思ってみる。そりゃ経済性を無視して何でもやれというわけにはいかないが。
 直後に読者投稿のメールが配信されていた。柏原病院の取り組みが紹介されていた。なんのことはない。モンペが反省しなさいということだった。