先週のいきいきホットラインは

 キれる大人というお題だったが、ゲストが「キれてもいいんですよ」という発言を結構していた。普通、キれた当人にはほとんど責任がなく、むしろ我慢してその末怒ったとしたのであれば、周囲も納得するであろう。しかしそうでないから、つまり、キれる大人自体が困ったチャンで、「逆ギレ」するから問題になっていると思うのだ。
 周囲に迷惑をかける未成年者を見かねて注意した大人が、却ってギャフンといわされて「やるんじゃなかった」という事例も多く、だからこそ注意をする大人が激減し、若者がわがまゝ放題振舞うようになってからしばらくたつ。しかし、そうこうしているうちに、小泉不況で格差が拡大・固定化し、何をがんばってもしょうがない、「働いたら負け」という状況になって、ゆとり世代の若者は学力低下に加えて、むしろおとなしくなっているわけだ。で、余計に大人世代の暴虐が目立ってしまっているという側面もあると思う。
 医療・教育・福祉・メーカーへのクレーマーが多いのも団塊を中心に、モンペ世代である30〜40代も加わって、ほぼ就職氷河期よりブロードに困った大人が際立ってきた感はある。'90年代に流行った「ヤンママ」が今20代後半から30代に賭けて存在しているので、この層がクレーマーと化していたらほぼ大人の全世代ということにもなりかねない。
 そんな中、小泉政権による格差拡大で憤懣やるかたない大人たちを何とかガス抜きしようとしているのかもしれないが、結局そのキれる大人に当たられる他人には何の罪もない人が多いわけで、結局「政府の失政で積み重なるわだかまりを、なんの関係もない一般国民が引き受けなさい」と言っていることと同義なわけで、なんだかなぁと思わざるを得ない。もしかすると他人を蹴落として楽をしている勝ち組が不満のハケ口になるのかもしれないが、大抵はつらいことにじっと我慢する善良な国民が割を食う場合が圧倒的なんで、国民同士をいがみあわせるという結果になるのではないかと危惧する。
 かといって、堪え性のないキれがちな大人に我慢しろといって、突然街でキれる以上の凶行に至られても困るというのはあるだろう。そもそも小泉政権自由主義思想というのは、理性を失わせて欲望を限りなく吐き出させるのが根本であり、本来狭い国土にひしめき合っている日本人が他人への配慮無しに自分の欲望を追及させるという方向性自体が間違っていたのだ。
 そういう意味で、キれる大人が自分の感情を抑制できずに周囲に当り散らすのを容認するという態度は首を傾げざるを得ない。解決方法は実はあり、それも極簡単だ。もし、彼らがキれるのなら遠慮なく失政を行った自民党に向けさせればよい。むしろ失政の被害者である善良な隣人に向けるのは間違っている。