今更ながら未読メールの消化をしているわけだが、[JMM455M]消費税は平等・公正な税か…について。

 やっぱこういうお題で、政府とか国際金融の御用学者かどうかがわかるわけだが。まぁいちいち引用してみます。

 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授
 5,3,1は、それぞれ、自営業者、農業、政治家の所得捕捉率を、一種の揶揄を含めて表したものです。自営業者は、経費名目で様々な支出を控除することが出来ることから、所得の捕捉率が5割(ゴー)ということ意なるのでしょう。また、農業についても、捕捉率が3割(サン)程度といわれていたようです。中でも、最も補足率が低いのは、政治家で約1割(ピン)程度ということを表しています。
 それに対し消費税については、基本的に売上げが計上されるポイントで抑えることによって、課税対象を掴むのが比較的容易でしょう。また、税率も一定ですから、納税額を算定することも簡単です。そのため、一般的に消費税の方が、納税に関する平等性を維持し易いと考えられます。

 えーっと、政治屋が1割の所得補足率ってことは、9割も脱税しているわけですか。そしてその脱税を黙認して消費税なら税率が平等だから公正だと…。あきれてモノが言えませんな。

 ■ 土居丈朗  :慶應義塾大学経済学部准教授
 消費税は、低所得者により重く税負担を課す「逆進的」な税でよくないという反対論があります。しかし、経済学の立場から見れば、消費税が逆進的な税であるという認識は、完全に誤りです。
 消費税には、増税時に起こる景気への悪影響を懸念する向きもあります。特に、1997年度に消費税率を引き上げた後の日本経済を惹起する人は多いですが、経済学の分析では、1997年の不況は必ずしも消費税や社会保険料負担の増加が主因だったわけではなく、むしろ大手金融機関の破綻に端を発した金融危機、それに伴う信用収縮で企業業績が大幅に悪化したことが主因だったとする見解が主流です。したがって、消費税増税に伴う景況悪化を過度に警戒する必要はありません。しかも、高齢化に伴う社会保障給付の増大に伴い、いずれ増税が必要な状況にある中で、我々に残された選択肢は、明日(近い将来)に増税するか、明後日(遠い将来)に増税するか、の二者択一しかありません。それでいて、増税額は、増税を先送りするほど多くなり、増税額が多くなるほど景況悪化の度合いは大きくなります。そう考えれば、目先の景況悪化を恐れて増税を避ければ、将来に多く増税しなければならず、その際には大きく景況を悪化させることになりかねません。

 うーん、はじめに増税は正しいという結果ありきで、その補強に都合のよい理論だけを引っ張ってきている、典型的な御用学者。あ、慶応か。なるほど。1997年の信用収縮ではたしか政府から金融機関への補助がなされたんじゃなかったっけ。税金で。

 ■ 菊地正俊  :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
 給料所得が伸び悩む中で、消費税引き上げは低所得層に打撃となるかもしれませんが、公共サービスの対価は支払うべきと考えます。竹中元総務相がおっしゃるように、金持ちをバッシングして、低所得者層が恩恵を受けることはありません。所得税法人税を上げすぎると、金持ちや大企業の日本脱出が起きます。資産運用の世界では、東京からシンガポールに拠点を移す人が増えています。担税能力がある個人富裕層や大企業は、税収の観点では日本全体にとって重要ですので、国益のために大事にすべきと考えます。
 消費税に逆進性があっても、政治家は消費税引き上げを決断すべきと思います。

 はじめっから開き直って、金持ちの味方しかしませんよという態度。ある意味清々しい。こういう発言をしていると粛清リストに入ると思うんだが、多分承知の上なんだと思う。その時のためにもう国外脱出ルートとか確保しているかも。

 ■ 杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務
 ただ、消費税はシンプルなだけに、われわれの公平の感覚に合致しない面があります。所得には労働所得だけではなく、資本所得(や地代)も含まれますが、現実社会の金融資産の分布はかなり不平等な状態かもしれません。そこから人生を開始しても、高齢者が金融資産を多く持所得にも資本所得が多いという自然な状態をこえて、分配の結果には当初の社会の富の不平等な分布が入り込むことでしょう。資本所得が消費されるときまで課税されないとすれば、当初の富の偏在は拡大される一方です。
 大増税のための他の方法を考えたとき、現行所得税体系が複雑になりすぎた状況で所得税の大増税は非現実であり、法人増税も企業の国際競争力を低下させかねないリスクからその実現は困難だとおもわれます。最初に指摘したように、消費税には納税者の認知の誤差に加えて逆進性の問題があるがゆえに、納税者の理解を得にくい面がありますが、消費税は福祉や社会の不平等性を克服するために使途を制限するという条件をつけて実施するというのは、納得が得られやすく経済額的にも合理的な方法であると思われます。
 

 極めて日本的というか。生命保険関連会社というのが外資系かもしれませんが。法人税低減のためなら、いくら消費税が不公平だと言えども貧民は文句を言うなというのが要旨というのがなんだかなぁで。

 ■ 山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
 「平等」や「公平」はものの見方によって変わる価値尺度です。消費税についても同様のことがいえるでしょう。
 また、先日のJMMのイベントで土居先生に教えて頂いた用語では「霞ヶ関埋蔵金」と呼ぶのだそうですが、特別会計のバランスシートを正しく作ると、数十兆円単位の余剰金が存在するようで、幾つかの特別会計(財投関係、雇用保険関係、道路関係など)は余裕を抱えながら一般会計からお金を繰り入れ続けているようです。この「埋蔵金」が仮に50兆円あるとすると、これは丸々1年分程度の歳入に匹敵しますし、消費税の引き上げを数年は先送りすることが出来る財源といえるでしょう。もちろん、そもそも論として、歳出削減や余剰金の吐き出しを十分に検討した上で増税を行うのが筋というものでしょう。この筋論の前提条件は、まだ全く満たされていないと思います。
 こうした検討を経ずに、消費税の増税社会保障の維持とが他に選択肢のない二者択一であるかのような「脅し」によって消費税率を引き上げることは不適切だと思います。民主党をはじめとする野党は、消費税率引き上げに、大いに反対していいと思います。増税による財政再建とは、現状の政府の在り方をそのまま追認しつつ、「大きな政府」をファイナンスするということではないでしょうか。

 消費税は税率が一定だから公正であるが、貧乏人には優しくない税といっていた。特別会計というかなりの部分が政治屋や高級官僚の私腹を肥やす予算にプールがあるということで、一段も二段も行間を読むと、「プールで50兆もあるんだから、当然その何十倍何百倍も政治やや官僚に支払われているよね?」というところか。なんとか貧乏人の味方になってくれているようにも見える。

 ■ 金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
 消費税が平等・公正な税かという評価は、既存の税制全体、特に所得税などの直接税との比較観において評価する必要があると考えます。少なくとも、消費税は税率の決定過程において、その手続きがより民主的である点は指摘できると思います。
 たしかに、税率の引き上げによる税収の確保を先行させようとし、歳出の見直しが先送りされるような行財政改革の議論には危うさもあります。しかしながら、民主制国家である日本で行財政改革に取り組んでいくためは、国民間での合意形成と意思決定が必要となります。そのためには、幅広い層の国民が負担を実感する必要があり、そうした受益と負担の関係を把握させるためには消費税を活用することが最も的確な手段ではないかと思います。従って、消費税率の引き上げが先行することで、国民の間で歳出の見直しに対する関心を喚起する効果も期待できますし、逆に、そうした切っ掛けが必要なのではないでしょうか。

 うーん、真意を図りかねるんだけど、自民党強行採決は多数決原理に則っているんだから民主的で、それに文句があるんだったらいっぺん増税を受け入れて自分たちが改めて嫌だと思うんなら蹴落としてやりなさいということなんだろうか。いちおうユダヤ金融ゴールドマンサックスの人。

 ■ 津田栄   :経済評論家
 最近、急速に消費税の引き上げが政府、与党内で論議され、政府税制調査会自民党財政改革研究会は引き上げ容認の答申及び中間報告を出しました。この動きは、小泉、安倍政権で封印されてきた消費税引き上げ論が、安倍前首相の突然の辞任で、増税容認派の巻き返しから急浮上した結果といえます。しかし、小泉構造改革で疲れ、変わることを期待した国民は、この増税論議には、突然の政治の力学の変化で思わぬ方向に出てきた問題とみて、当惑しているのではないでしょうか。
 ところで、今回の消費税引き上げには賛成できません。この裏に財務省のこれまで抑えられてきた財政再建優先の意図を感じるからです。財務省は、膨大な財政赤字を目の前にして、将来の年金や医療費など少子高齢化で膨らみ続ける社会保障費を理由に増税が必要だと国民を納得させようとしていますし、今の自民党は、先の参議院選での大敗を受けて再び公共事業や地方へのばらまきなどで大きな政府を目指し、構造改革の針を巻き戻そうとして、消費税引き上げを推進しようとしています。

 引用してませんが、消費税は公正・格差を感じる・逆進性がある税という考え。どちらかと言えば消費税には賛成だが、政府のやり方が気にいらないので止めるべきという論調か?。
 さて、やっぱりというか消費税の引き上げにはっきりと反対する人はいなかったわけだが、ずっと前にも述べたとおり、あまり政府に都合の悪いことを公に発言しては仕事上干される可能性があって、なかなかにして本当のことをいえないというのもあると思う。だからといって御用学者に寛容であっても、いざ彼らが政府に都合のいいことを言ってオイシイ仕事にありついたら、それはそれで嬉々として庶民イジメをして高報酬を得るだろうから油断はならない。
 消費税を5%に上げたときに経済が冷え込んだそうだが、結局5%に上げたんだから何らかの改善が見られたのか?というとそうではなかったわけだ。その後に登場した子鼠が財政の立て直しをしたのか?と言えば、結局日本の技術力や資本力をむしろ外国に売って日本の体力を削いだという、全く反対のことをしでかしたわけで、その辺の反省もなく金が足りないから増税だというのはどの面下げて言ってんだという感じだ。ましてや大企業は高収益で大企業の役員報酬はうなぎのぼりで、庶民は給料を削られるばかり。さすが賄賂を貰って便宜を図るという泥棒が大臣をやっている財務省のことだけはある。
 前に述べたなぜあのサラリーマンは税金を払っていないのか (かに心書)も、ずっと前に読み終わったんだが、面白いところははじめのちょっとで、後はノウハウばかりだった。その前の部分にあったのだが、昔は所得税なんてモノはなく、法人税だけしかなかったらしい。

 国税収入の4割は所得税によるものだが、このほとんどはサラリーマンの給料から天引きされている源泉所得税なのである。また国税収入の残りの6割は、法人税と消費税だが、これも実質的にサラリーマンが負担しているといえる。
 そもそもサラリーマンの税金、源泉税というのは、第二次大戦中に作られた特別税なのである。戦前のサラリーマンには、基本的に税金はかかっていなかった。戦前は、法人税所得税という区別はなく、収入のある事業者に対して所得税という名称で税金がかけられていた。サラリーマンの場合、会社が税金を払っているので、その社員までもが税金を払う必要はない、ということだったのだ。
 しかし戦争が激しくなって財源が不足してくると、国はサラリーマンからも税金を取ろうと考える。当時の勤め人というのは、軍需産業などに徴用されている人も多かったので、彼らに払う賃金から税金を取り戻そうと考えたのだ。そこで、特別税としてサラリーマンからも税金を取ることにしたのだ。
 そして当時ナチスドイツが採用していた源泉徴収制度を真似したのである。
 しかし戦争が終わっても、国の財源不足は続いていたので、サラリーマンの特別税は廃止されなかった。(p40〜41)

つまり、会社に所属しているサラリーマンは法人税で間接的に納税しているからという理由で、大富豪以外は所得税なんてモノは払わなくても良かったのだ。それが戦時中の臨時措置で貧乏人も戦争遂行のために支払えということになり、それが今までずっと継続しているだけなのだ。企業総数の6割〜7割が法人税を払っていないから、むしろ現代は企業のかわりに個人の特にサラリーマンが払っているという逆転した状況。しかも昔に比べて金持ちの負担率がドンドン下がっているわけだ。そんななか逆進性が高い消費税を上げるってんだから、いかに財務省国税局が金持ち優遇で、貧乏人からいかに絞り上げているかを示していると思わざるを得ない。