舞-乙HiME 第26話「Dream☆Wing〜夢の在処〜」

 まぁお疲れっかな。
 前作の設定を生かすことに精力をそそぎ、話がごちゃごちゃになってはいたものの、熱血乙女アクションとしては良い出来だったように感じます。たぶん金の面では他の作品よりは好条件だったと思うのですが、振り返ってみても金の使いどころを間違っているとは思いません。恋愛部分もメロドラマとしては良く出来ていると思いますよ。ガンダムSEEDがトレンディドラマとして見ると自分的には好評価なんですが、それぐらいには評価できる。
 ただ、やっぱりこれもデータベース型消費の一種でしかなく、お涙頂戴のエピソードのごった煮の印象は拭えません。他のサイトさんがよい評価を下しているのもやっぱり前作を生かした話の組換えの部分であって、せっかくの新規枠なのに前作を越えるテーマ設定やそれにともなうドラマ部分、新しい視点がなかったのが残念。ストーリー構成だと、個人の欲望の集大成が社会の混乱の源であるということをステップアップしていきながらドラマチックに演出を行った前作を越えることもなかったし。
 ただ、そう自分が考えるからといって、ここまで記述しただけ評価を落とすべきか?というとそんなことは全然ない。というか、これだけこの作品の欠点を挙げながら、視聴後感は妙に清々しい。たとえば、これまで散々主人公が奇麗事ばっかで頭脳行動がサル並といっても、そもそも前作の主人公も悩めるヘタレであったし、完璧な主人公は中高生などのターゲット層が感情移入しづらい面があってのことかもしれません。前作のときも書いたと思うんですが、みんな復活でバンザーイという結末も、それまで視聴者自身の社会的行動に対して反省を促す構成ながら最後に後味が悪くなるようなつきつけのまゝ作品を閉じるのは商業的にどうなのよ?という部分があってのことでしょうし。
 ごった煮の部分ですが、まぁマシロサイドでの主題「自分の頭で考える」というのを考慮すると、整理が不完全なまゝ視聴者に放りっぱなしってのもそんなに悪くない。まぁそれを言っちゃったらスタッフはどんな材料でも投げてれば済むってことになりかねないのですが、ちゃんと下ごしらえぐらいはしていたと思うので問題なし。尺が短いような気もしますが、説明を一々していると却って煩雑になるので不足なのを承知で切ったのもいい判断かも。
 と考えてみると、私自身のこむずかしく考える人向けになっていないことはむしろ当然であって、あまり堅苦しく考えず画面を楽しみ、かといって問いかけがないわけでもないという作りは、全体的に見てハイレベルだと思いました。
 あぁ、シズルの描写は最後は今一だったかな。ニナが報われるのもあんまり乗れなかった。セルゲイ記憶喪失はかなり御都合主義的と思いましたよ。乙HiMEの描写で意外だったのはマリア先生かな。理想的に年を重ねるというのは至言だし、なにより重要なのはエレガンテですよ。