涼風 第12話「誤解」

 ん。物語的には順当なんだけど、荒っぽい作り。視聴者には涼風の気持ちをわからせた上で登場人物同士の心のすれ違いを描いておりました。
 基本的には自分のことしか頭になくて場の雰囲気が読めないのが大和くん・萌果ちゃんでいいのかな。このバカ2人には表情や台詞だけで感情その他を表現するのではなく、わざわざひとり言で説明させているのはやっぱりラベリングでしょうか。しかし萌果ちゃんがクローズアップされて魅力が描き出されるのかと思ったら逆でした。天然でどこか抜けているんだけどそれは一途さの裏返し…という表現なんですが、決して美化をしておりません。やっぱり主役は涼風なんですね。あまり萌果ちゃんに感情移入させずに、あくまで主役に焦点を絞っております。だからこそ萌果ちゃんの挑戦を受けたときの涼風の表情に力点が置かれていたわけですか。
 前回は主人公がヒロイン涼風の表情などを読み取って攻略するというエロゲのようなつくりではないかと書きました。が、今回を見てみるとむしろ主人公は涼風のようにも思えてきます。バカなんだけど自分に一途な大和くんの気分に翻弄される涼風自身の戸惑いをどうぞ腐女子の皆さんも味わってくださいとか?。前回は特にそうだと思うんですが、後先考えないバカなんだけど自分にぞっこんで、他の誰でもない私のために必死になってくれる男なんて女にとって理想じゃないですか?。だからこそ大和くんのかっこ悪い宣言を聴かなかったことにした*1涼風の心の変化がぐっときたわけでして。涼風にせよ大和くんにせよ、完璧ではなくむしろひとくせもふたくせもある性格になっております。このことは本来のターゲット層である中高生男女は自分を登場人物に投射しやすいんではなかろうか。もちろん一歩下がった目で見るという条件はつきますが。ハハハこいつバカだ〜と思いながらも、そういえば自分にもこんなところはあるなぁと思わせる作り。
 あ、ときどきこの作品があわないという人がいるんですが、「志村、うしろうしろ」的な楽しみ方が出来ないとつらいかも。

追記
 はてなをチェックしていたらこんなエントリーが2005-09-22
 なるほど、演技指導ですか。統一感が取れているなという点については大いに同意。棒読みとかいっている人がいるんですけど、萌果ちゃんだとそのほうがいいぐらいと感じていました。涼風の中の人の演技も、正規兵の割にはかたいなと感じていたのですが、統一感をとっていると考えれば俄然納得です。萌果ちゃんの中の人の演技は、そもそも地声がどんな風で、どのような変化をつけているのか見当がつきません。このひと、正規兵ではないにせよ、女優ではあるんでしょう?。たぶん元はもっと落ち着いた声だとは思うんですが、内気な女の子のおどおどした雰囲気が良く出ていると思います。

*1: