ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル 第4話

 蛙の使い魔、何気に一緒に風呂に入っていやがる。
 連続殺人事件の容疑者の弁護を引き受けるが、それはセシルの能力解放のためだったというお話。なんとも忙しい話運び。前回もそうだったらしいが、あの警察のオッサン(おそらく彼の判断ではなく上役なり上層部のものと思われる)も大概胡散臭いということが明かされる。
 どんな容疑を受けていても被疑者の権利を最大にすべきのが弁魔士(弁護士)の役割であるとか、行為を反省しない容疑者をどう弁護すべきなのかだとか、幼少時の環境をどう考えたらよいかとか、精神鑑定を要する被疑者だったらどうすべきだとか、アゲクの果てに弁魔士(弁護士)が罪の軽減に利用されていたら?ということをどう考えるべきかだとか、もう詰め込まれている要素がてんこ盛り。しかもそれをじっくりどころか、考えさせる暇がまともに与えられていないという作り。その上に主人公に忍び寄る要素もあって、あとから振り返ってみると、それぞれがその時点でどう明らかにされていたり、いやもしくは隠されていたりするのかというのが今の時点では判断できないのがちょっともどかしい。
 一見雑多に詰め込まれているだけのように見えて考えつくされているのかもしれず、そういう意味ではむしろ視聴者を特定の方向に誘導するようにそれらしい情報開示や間が考えられている作品のほうが心地よいんだろうけど、そういうのは強烈なバイアスがゝゝっているだけであって、高く評価すべきかどうかという問題もある。まぁどっちにしろ、スタッフは視聴者に提示する情報量は多いというのを自覚した上で作品を作っているように思われるので、いや、本当だったら、一通り視聴した上でさらにもう一度何度も見返すとそのへんのからくりが見えてきそうではある。
 今回だって、アゲハがいみじくも「勝つ可能性があるのなら」という但しつきで、どんな弁護も引き受けるべきってところ、弁魔士になったら嫌われるのは覚悟のうえでという外野の意見も入れつゝ、主人公視点の「こういう容疑者の弁護は嫌」というのはあくまで視聴者の立場で見せており、しかし、最后の結論でもアゲハに躊躇なく弁護すべしと答えさせているあたり、結構クリアな構造設定をしている。弁護士や裁判官の判決も最近はおかしくなっているが、残念なことにそれはそうなるまでのそれらを取り巻く世論がおかしいという段階があり、その反映で司法制度も狂ってきているという要素もありで、そのへん、物語としての主張にはキレがありながら、やはりイヴェントは四方八方に突き抜けていて、それがまたこの作品をわかりにくゝしている側面があるのかもと思ってみたり。
 しかし、なんだね、この分だと死刑囚のセシルの母親も正当防衛云々にしたって、そもそもがセシルの能力を引き出すために外部がセシルを危機に遭わせ、それを救おうとした母親を死刑囚にすることによってもセシルの能力や進路を決定付けさせるってことがありそうだね。なんにせよ、セシルの能力を引き出すために殺人さえ厭わない*1上部構造の存在が示唆されているところからして。

*1:そういやこの構図、今視聴しているレールガンと一緒じゃねぇか