日銀総裁選び騒動

 【財務省と心中】政府、「武藤総裁」実現のため日銀法改正を検討 トヨタ奥田氏は総裁就任固辞
 武藤否決→株価上昇、田波否決→株価上昇という、まるでお笑いのような展開だが、どうも自民党が武藤にこだわっているのは、やっぱり私利私欲のためらしい。武藤がダメなら民主党は対案を出せといっていた自民党信者がたくさんいたようだが、実は以前より水面下で交渉していたっぽい。
 実は、民主党は参院の採決前から、「渡辺博史・前財務官なら反対しない」と、別の総裁候補を内々に逆提案していた。
 まぁ14日公開記事なんで、さすがに後出しではないと思うんだが。で、自民党はなぜそこまで武藤にこだわったかといえば、
 5年前に決められていた武藤日銀総裁人事

 20日の日経新聞に極めて興味深い記事が出ていた。武藤敏郎元財務次官の日銀総裁人事は、5年前に小泉元首相の手で決められていたという。それを手伝ったのが福田官房長官(当時)だったのだという。福田首相が武藤総裁にこだわったはずだ。

  その記事を一言で言えば、接待疑惑などで責任をとって辞めざるをえなかった松下日銀総裁以来、日銀総裁は速水、福井と二代続いて大蔵事務次官がはずされた。これは大蔵省にとっては耐え難い事で、大蔵官僚のお友達であった小泉元首相が、それを正常に戻す仕掛けを作った。つまり、当時財務次官であった武藤に、副総裁になるよう説得し、福井総裁―武藤副総裁という官僚の常識ではありえない逆転人事を耐え忍ぶことにより、5年後に武藤総裁を実現する事を約束したという。

 うーん、大蔵官僚が不正接待を受けたのは犯罪なのに、それを検察に見逃してもらうばかりか、日銀総裁事務次官がなれなかったことを不満に思っていたらしい。わがまゝも怒りを通り越してあきれ返るばかりなのだが、そろそろ歴代の大蔵官僚を一族郎党皆殺しにする時期が来ているんかね?。

  今度の日銀武藤人事の混迷が示してくれたことは、官僚支配の予定調和が、思わぬところからほころび始めたということだ。それをメディアはとっくに知っているのに、正面から書かないのだ。しかしそれでもどこかで書かざるを得ないほど重要な内幕である。だからこのように断片的に漏れてくる。

 我々はそれを見抜かなければならない。政治家もメディアも味方につけたこの国の官僚支配体制が、果たして音を立てて崩れていくのか、それともうわべだけの混乱を経て、再びもとの予定調和に戻るのか。

 
 その帰趨に、国民生活がさらに苦しくなっていくのか、蘇生できるかがかかっている。日銀人事総裁の問題は、メディアが書いているような日本経済の将来や日本経済の信用の問題では決してない。国民が知らないところで動いているこの国の支配構造の内輪もめの話なのだ。

 そしてその支配構造の内輪もめが、はたしてどこに落ち着くか。それは支配者たちも、それと密着しているメディア関係者も分からなくなってきている、それほど今の日本は崩れ始めているということである。我々国民はしっかりしなければいけない。

 まぁその通りだろう。そもそも小渕がぶったおれて棚ボタ式に落ちてきた総裁職を見事に台無しにしたのが森で、森派自民党のほかの派閥に総裁職を渡したくなくてマスコミにバらまいて小泉が後を継いだのは周知のとおり。小泉自身は福田赳夫の秘書をやっていたぐらいなので、清和会には非常な恩義を感じており、だからこそ息子の康夫を官房長官にもしたし、安倍がわがまゝをして政権をほっぽらかした後には首相にも据えた。小泉自体は自分の後継にスグにでも福田を首相にしたかったのだろうが、福田赳夫の恩人である岸信介の孫である安倍をまず首相に据えたということなのだろう。結局自民党の中の支配階級のなかで権力が循環していたわけで、日本は全く彼らの私物に落ちぶれていたわけだ。そして武藤はそれに連なる権力層を強化するための役割を持たされていたわけだ。リンク先では無能呼ばわりされているが、むしろ無能であったほうがアメリカに宗主権を認められる上で非常に都合がよいというわけなんだろう。
 なんといっても日本人の民度が他国に比べて桁違いに低いわけで、そのへんがすごく心配なのではあるが、実はこの混乱はチャンスでもある。日本に寄生し、権力をむさぼっている自民党を早く排除する絶好の瞬間である。テロ特措法が期限切れで給油艦が撤退したときも石油は暴騰しなかったし、テロ特措法が再度強行採決されて給油艦が派遣されても石油は安くならなかった。民主党が妨害するから日本はダメになると自民党は叫んでいたが、実は自民党の政策が妨害されるとかえって市場は好感する…というよりは全く世界経済に日本の政局は影響を与えないということがわかってしまった。やっぱり自民党はウソしかつかなかったのだ。