沈んでくれたほうが嬉しいのに…。今日のいきいきホットラインは

 いろいろ考えるネタが豊富で、話をそのまゝ受け取ると、今日のゲスト

▼(株)ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室淑恵さん

 は、誠実な物言いをしているのかなぁ…と思っていた。だが、今、いろいろネットで調べていてびっくり。これは酷かった。
 小室淑恵ブログ。エントリーの題を拾って見るとアヤシさ抜群である。

明けましておめでとうございます!
厚生労働省の委員になりました!
本のお問い合わせについて
安倍内閣から依頼が・・
夫婦で参加します!!
続々届いています! 締め切りまであと15日
悲劇がおきました。
父親の働きやすい企業調査締め切り間近!!
内閣府の専門調査会メンバーになりました。

 ブログ内リンクで到達できるのだが、スタッフブログってのもあって、これが、またキてる。まぁとにかく、今日のゲストが、モロ自民党清和会・経団連ベッタリの人であるということを念頭において振り返ると、背筋が凍る思いである。スタッフブログ、■経団連会長の言葉から考えるWLBからの抜粋を一々解説していきたい。

日本経団連労使フォーラム御手洗会長基調講演(要旨)

ワーク・ライフ・バランスは、単に労働時間短縮を意味するものではない。

 こう書き出されると、ワーク・ライフ・バランスは労働時間を短縮するのが目的のように思えるが、スタッフが後述している部分によれば、あっさり否定されている。

推進に当たっては仕事を根本的に見直し、効率的に遂行する必要があり、目標を明確に定め、達成度を「仕事の過程」でなく「成果」で公正に評価、処遇するため、仕事・役割・貢献度に基づく人事・賃金制度の構築が求められる。

 こういう文だと、いかにも労働者ががんばって「成果」を挙げれば報われると思いがちだが、よく考えて欲しい。経営者にとって「成果」とは“経営層の懐が肥え太ればいい”ということであり、「仕事の過程」を否定しているというのは、金さえ儲けられれば、食品偽装をおこなっても良いし、顧客を裏切っても構わないということに繋がる。というか、今問題になっているのがそれだろうが。公正に評価・処遇って誰が判断するの?。私利私欲にまみれた経営層だろうが。汚いことに手を染めてまでも経営層の私腹肥やしに協力する社員ははした金でも呉れてやるが、経営層の利益を無視して顧客満足度とやらを追及して、儲けが減るようであればいくらでもクビにするってのが、彼らのいう人事・賃金制度なんだろう。アホかと。

よりめりはりのある働き方の実践が、企業にとっては生産性の向上を、従業員にとっては満足度の高い働き方の実現をもたらす。

 企業の生産性が向上すれば、いくらでも言葉だけで褒めてやるから、従業員はそのありがたい言葉を聞いて満足しろってことか。

働き方を変えるためには、企業文化も変えていく必要がある。
一人ひとりが自分自身のキャリア形成を自ら考え、仕事の進め方を考えるような状況をつくっていく必要がある。

 もう企業で教育なんてやらないから、自分自身で企業の奴隷となるよう労働者が自分自身のコストで勉強しろという環境にしていくつもりなんだろう。

そのような企業こそが既存の価値観や慣行にとらわれず、問題の本質を的確に把握した上で自ら主体的に考え、価値創造、事業革新を担うことができる自立的な人材を育成することができる。

 今までの日本の「和を持って貴しとなす」では、効率的に金儲けができないから、顧客を人間扱いするということをやめて、ひたすらすべてのものを金という価値に替えろ、そのために自ら人が人を売るような世の中にすべきだというつもりか。
 まぁ使っている言葉があまりに抽象的で、経営層にだけ都合のよい言葉で飾られているんだけど、熟語を多用しているからいかにも偉そうで、これがありがたく聞こえる人間もいるんだろう。よくよく言葉を解釈すれば、キレイ事ですらない。これに対してのスタッフの感想が、

まさにそのとおり!と思わずうなってしまいました。
「ワーク・ライフバランス」=「残業削減」という見方をすることもあり、そういった要素も含んでいないわけではないのですが、究極的には「仕事の効率や質の向上」のためにライフが重要であるから、ライフの充実を図っていきましょう、ということなのではないでしょうか。
これまでの日本の文化からすると、「ライフ」=「のんびりだらだら」「仕事には関係ない時間」、というイメージがあるかもしれませんが、それも時代の変化によって変わりつつあるように思います。
毎日の24時間を明確に「仕事」「私生活」と切り分けるのではなく、相互によい影響が及ぼせるような日々を送るための工夫をしていきたいですね!

 先ほども述べたとおり、いきなり「残業削減」といった要素も含んでいないわけではないと、労働時間の短縮を否定するような言葉を真っ先に記している。しかもわざわざ赤字ボールドで強調しているのが、“仕事の効率のために労働者の人生があるのであって、べつに労働者の人生のために仕事があるわけでない”と、いきなり金儲け至上主義の主張。経営者は別に労働者が倒れようと死のうと構わないんだが、そうなると奴隷がいなくなって経営者自らしんどい仕事をしなきゃなんないから、しかたなく労働者の生活のことも考えてやるよという横柄な態度が隠されもせず吐き捨てられている。なんだかなぁ。
 結局、自民党は、「農民は生かさず殺さず搾り取る」という格言を実行してみたら、大勢死亡者が出たのであわてて労働者の生活も少しは考えてやるよ…という態度なんだろう。まさに現状は労働者を絞りすぎて、出生率が激減し、奴隷が奴隷を再生産しなくなっている状態と考えていて、かといって自民党が国民からドロボーしている金を返すつもりはさらさらなくて、次世代の奴隷を奴隷に面倒見させるために、男性労働者も子育てに参加しろといっている状態。恥知らずにも程がある。
 抜けはあるものゝ、実は今日は最初から聴取できた。日本は過剰労働でしかも先進国中一番労働生産性が悪いと、労働者の肩を持つような発言(つーか、経営者にダメだし)から始まったので、労働者の視点を持っているのかな?と思いつつ聞いていた。しかし、注意深く聞くとわかるのだが、今日のゲストは、「だから、男性労働者に子育てをするだけの時間を企業は与えるべき」とは一言も言ってないんだよな。一貫した主張は、「男も子育てに関われ」と「労働生産性を挙げろ」の二点だけ。これなら昨日・一昨日の、「男も子育てに関わったほうが、子供とのよりよい人間関係を築けますよ」という内容のほうがはるかに良かった。やわらかな言葉を使っているようだが、女側からの一方的な要求としか聞こえなかった。たぶん、これで主な対象聴取層である、「専業主婦」、「家事をダシに5時引けさせてもらっている女性労働者」のハートを見事にゲットできたことだろう。
 別に女性労働者に残業をたんまりしてもらって、男と同じ地獄を味わえというつもりは毛頭ないが、男に子育てに関わるようにさせるためには、男女関係無く全員が残業などせず5時引けできるような環境を整えていくのが根本的な解決方法だと思うがな…。でも、今日のゲストは、あくまで、個人の勝手で育児休暇を取るなりしろと吠え立てているだけで、日本全体をそのような余裕のある社会にしていこうという視点は(勝手にそのように受け取ってくれという都合のよい解釈はできるが)全然無かった。