忘れないうちに記述しておく。阪神大震災にかこつけて。

 まぁ大分風化してきているっぽいな。今でも思い出すのは、あのとき売国自民党に転んで国民を裏切った社会党党首村山総理が、災害の対策としての自衛隊派遣をそのとき指示しなかったということなのだが、どうも、緊急出動をかけていたところで、ほとんどの死者は地震発生後30分以内に絶命したそうで、まぁなんともあのとき総理を批判していた層には後味が悪いことだったんだなぁと思う。
 当時あった事を記憶を頼りに思い出しながら、現在のことを考えてみたのだが、あのときは割と被災者同士、駆けつけたヴォランティアや自衛隊員などの「困ったときはお互い様」の美談を随分耳にしたように思う。そして、近年新潟で起こったときに報道されたのは、やれペットを置き忘れたから面倒を見て欲しいだの、報道姿勢にもよるとは思うのだが、非常時に個人的な都合を優先させる被災者の報道が結構あったように思う。話題としてワイドショー的雰囲気が漂い、スクープのために被災者そっちのけの取材をしていたマスコミの態度が大いに批判されていたのも新潟の自身のときだったと思う。土地柄によるのかもしれないが、10年経たないうちに日本人の民度が著しく下がったという実感が湧いたのだ。医療・教育におけるモンスターP、小泉劇場に踊らされたB層、そして利権のためなら売国も厭わない政治家にその支持層。もしかすると日本文化に共鳴して、快く同化出来たかもしれない、企業が求める低廉労働者として奴隷同然の待遇で連れてこられた外国人労働者の一部。未だに政府の誘導で悪者にされている在日朝鮮人問題など、そういや阪神大震災が起こったぐらいの時には、そんなに問題が表面化していなかったし、日本もバブル崩壊後とはいえまだまだ余力があった時期だよな…、なんでヨーロッパでは福祉とゆるやかな経済成長を庶民を傷つけることなく達成している国が多いのに、日本は特権階級だけが私腹を肥やす草刈場になってしまったんだろう?と振り返らざるを得ない。
 そして問題なのは、もう過ぎてしまったよき時代を振り返ることではなく、これ以上の悪化を防ぐことなんだろうなというところに行き着いた。危機感として一番に挙がるのは、「もし関東大震災が起こってしまったら、どういう悲劇が生まれるんだろう?」ということだ。もちろん手本は前回の関東大震災。状況も

第一次世界大戦が終わり、荒廃したヨーロッパに変わって日本の工業製品輸出が伸びた戦争特需による好景気も、ヨーロッパ経済が急速に回復すると過ぎ去っており、景気に陰りが見えてきた日本経済に甚大な打撃を与えた。

 良く似ている。昔と違って今は、不景気の原因が自民党による利権政治というのがわかっているから、地震でも起こったら民衆が暴動を起こし、民衆を搾取して贅沢三昧に耽る特権階級の住居が狙われるのは自然の流れ。だが、火事場泥棒では自民党を初めとする特権階級は一枚も二枚も上手なので、基本治安維持に必要な人員は自分たちの安全を守るために独占するだろうし、下層の国民同士でいがみあわせて不満を逸らしたりするだろう。

 時の警視総監・赤池濃は「警察のみならず国家の全力を挙て、治安を維持」するために、「衛戌総督に出兵を要求すると同時に、警保局長に切言して」内務大臣・水野錬太郎に「戒厳令の発布を建言」した。これを受けて内務省警保局(局長後藤文夫)が各地方長官に向けて警報を打電した。その内容は次のとおりである。「東京付近の震災を利用し、朝鮮人は各地に放火し、不逞の目的を遂行せんとし、現に東京市内に於て爆弾を所持し、石油を注ぎて放火するものあり。既に東京府下には一部戒厳令を施行したるが故に、各地に於て充分周密なる視察を加え、鮮人の行動に対しては厳密なる取締を加えられたし」。また「行政戒厳」の形で戒厳令を発令した。

 陸軍や憲兵隊の中には、この混乱に乗じて社会主義自由主義の指導者を一掃しようとする動きがあり、大杉栄伊藤野枝・大杉の6歳の甥橘宗一らが殺された甘粕事件(大杉事件)、労働運動の指導者であった平澤計七など13人が亀戸警察署で軍に銃殺され平澤は首を切り落とされた亀戸事件、在日中国人指導者の王希天などの殺害事件が起きた。

 警視総監だの憲兵だの内務省だの、特権階級のご機嫌取りは自分の利権維持に余念がないが、かといって警察全部が腐っているわけではなかったようだ。

 横浜市の鶴見警察署長・大川常吉は、保護下にある朝鮮人等300人の奪取を防ぐために、1000人の群衆に対峙して「朝鮮人を諸君には絶対に渡さん。この大川を殺してから連れて行け。そのかわり諸君らと命の続く限り戦う」と群衆を追い返した。さらに「毒を入れたという井戸水を持ってこい。その井戸水を飲んでみせよう」と言って一升ビンの水を飲み干したとされる。
※実際は、4合ビンに入れられた井戸水を飲み干して見せ、「朝鮮人が井戸に毒を入れたというのはデマである」と、自警団を追い返したのは、朝鮮人49人を保護した川崎警察署長・太田除l太郎警部である(「神奈川県下の大震火災と警察」神奈川県警察部高等課長西坂勝人著)(毎日新聞湘南版06.09.09朝刊)。

 なかには私財を放出して援助する人もいるだろうが、日本がこういう格差社会になった以上、こういうときを好機と見て、国民の不満をより弱者に向けさせることに汲々としていると思う。そして特権階級に都合の悪い層はここぞとばかりに殺されると思う。大正デモクラシーの時代も、権利権利と浮かれた民衆がうまく権力層の手のひらで踊って見苦しい姿を晒していたようなので、民度の下がった今こそ、扇動されやすくなった民衆が弱いもの同士で傷つけあったりする可能性は高い。