日本の農業は

 農作業の大半が雑草引きということらしい。今ちょっと中尾佐助の本のチェックを中断中なのだが、日本の政局を振り返って思い出した次第。彼の農業分類は何種類かあるのだが、熱帯のイモ文化圏、そして彼が愛してやまない日本から中国にかけての照葉樹林帯であるところの、木の実文化圏、そして乾燥地帯での穀物文化圏などが挙げられると思う。
 麦なんかは元々乾燥地帯の作物で、そもそも雑草すら生えにくい土地で改良されたものだから、水さえやれば育つという性質のものらしい。というか、そういう土地では麦しか栽培できないということらしい。
 しかし、米はその穀物帯でも川などの水際に生えてきたものを採集・改良してできたもので、もともといろんな草本類が競争する土地での作物で、湿りには強いが他の植物と競争する環境由来のものであるらしい。タイなんかの湿地帯で栽培されるものは草丈2メートルも3メートルもあるものが栽培されている。
 日本は元々周囲が海で囲まれており、一部の土地を除けば降雨の多い土地柄で、とにかく雑草を抜かなければ生産性の高い稲からの収穫ができないということだ。
 昔はとにかく雑草引きが大変で、重労働だったらしい。夏の暑い日もほとんど雑草引きで終始したということだ。我々が稲の栽培と聞いて想像するのは田植えなんだが、そして短期間に田植えを終わらせること自体は重労働ではあるんだが、どうもそういうイメージは間違っているらしい。たしかに田植えを何週間もかけただの、イネの刈り取りに時間がかゝったとは聞かない。しんどくても数日で終わる性質のものだ。
 そしてもちろん農作業といえば耕すだの、代掻きだのが挙げられるわけだが、田植えをしてしまえばそういう作業をやるわけでもない。水を田んぼに入れるのだって桶で繰り返して汲んで大変という話も聞かない。大抵用水路を工夫して自然に引き入れるか水車を利用するかで、人力でやるという話は(比較的水の要らない野菜への水遣り以外は)聞かない。
 しかし雑草引きが大変で重労働といっても、実際に田んぼに出て草取りをしている姿はあまり見かけないと思う。農業を担うのは老人が多いということだが、老骨を鞭打って毎日草取りをやっているところを見た人のほうが少ないのではないか?。
 で、それは結局除草剤のおかげで省力化できているということらしい。現代人はやれ無農薬だの有機栽培だのをありがたがるが、実際に除草剤を使わずにすべて手で草取りをやるのであれば、本当に夏のカンカン照りの中、殆ど毎日草取りをやんなきゃならないらしい。今でこそ除草剤で楽ができるようになったが、子供のころは学校から帰るとすぐに草取りの手伝いを毎日やらされて大変だったという話を農家の人に聞いたことがある。ごく最近だが。まぁ日本人が忘れている風景だわな。戦争を知らない子供たちではないが、草取りの風景を知らない日本人というわけだ。
 で、結局草取りをやらないでおくと、稲より背の高い雑草がはびこると著しく収穫減になるらしい。というかほっとくと稲が全滅するらしい。よく農家の人は休耕地を嫌うというが、土地をサボらせるのはいいが、何の収穫も無い土地にわざわざ手間なり(現代の場合は上層罪代などのコスト)コストをかけるのはバカらしくって、何年も休ませて雑草の生えるがままにすると、鍬が入らないほど土地が固くなるらしくて、再度耕すのに無駄な労力がかゝるらしい。まぁ3ヶ月もほっとくと人間に何の益ももたらさない雑草が土地一杯にはびこり、果てには不毛の土地になるのだ。まぁ金にならなくても自家消費用に何かを作っておくというのが農家の知恵で、都市部で住居用の土地を遊ばせるのと、農地を遊ばせるのでは全然意味合いが違うということなのだ。でも自民党はわざと休耕地にして保障費を払っているわけで、それを無知な人間が、日本の農業は生産性が低く、補助金漬けで無駄が多いとやるわけだ。農家のなかには働かずとも貰える補助金で贅沢をしている層もいるらしいが、篤農家ほど金にならなくても(つまり補助金なんてもらえなくても)実は田畑を働かせたがるものらしい。まぁ誠実な農家ほど損をする構造にはなっているわけだ。自民党政治によれば。土地をわざと遊ばせて生産性を低下させ、日本ならではの農業のノウハウを失わせる、もしくは改良の可能性の芽を摘むようなことをやっているわけだ。そして都市部に田舎の非効率性を非難させる的にさせていたわけだ。
 そして日本を富を生み出す土地として見てみれば、自民党こそ絶えず引き続けなければならない雑草だったりするわけだ。本来現場の人間に日があたらなければならないものを、雑草たる自民党がさえぎって独り占めして、せっかく実り多い収穫をわざと減らすようなことをやっているわけだ。どんどん稲が枯れていき、雑草だけがはびこれば、いずれ日本は不毛の土地になる。というかもうなっている。さすがに輸出で喰っていけるほどの農産物を生産できるわけでもないが、先人が積み上げてきた技術力を自民党が吸い尽くすだけでなく、外国に売り払ったりするので目も当てられない。
 昔も今も汚職はたえないと思うんだが、昔だと罪を犯せば家老だろうといやむしろ殿様こそ断絶だったわけで、周囲に害を撒き散らすものはたとえ身分が高くとも排除された。それが飢饉に悩まされることの格段に少ないこの豊かな現代で、生産に携わる労働者が容易く切り捨てられ、世襲政治家はどんな犯罪を犯しても検察は立件せずという、まるで雑草を優遇して自らいち早く不毛の土地とならんとしている。掠め取るだけの自民党を早く断種して、産業の回復を図るべきだと思うんだが。金という豊かさがあるからこそ、それを狙って自民党という雑草がはびころうとするとは思うんだが、雑草を引かなくては日本が沈没してしまう。