幕末機関説 いろはにほへと 第22話 北の邂逅

 どうも違和感を感じる。というかスタッフの目くらましにかかってるんだろうな。
 善悪抜きにして共和国はなくなっちゃうわけで、そこらへん釜次郎というか覇者の首の意図がようわからん。榎本が言っていることは一見正しく思えるんだけど、彼の演説を聞くほうは別に世界に目を向けているわけでも自分の頭で考えているわけでもなくって、ただただ榎本を支持して熱狂しているだけ。ここで共和国を善として描くのであれば、榎本の演説で聴衆が変わっていくところを描くはずなので、それがないということは共和国側を善に描くつもりもないし、かといって、政府も共和国も悪ではなく、お互いが切磋琢磨しあってより高みを目指すって描写でもない。耀次郎側がなんの主張もしないのが不気味なのだが、次回予告で土方がなんか言っているようなので、そこらへんの欺瞞あたりが明らかになるのだろう。
 茨木の意図がようやっと明らかになったというところか。徳川のあり方に疑問を持っていて、理想の国家をつくりたかったというのはわかるんだが、榎本の演説に見て取れる通り、国民との乖離はめちゃくちゃありそうだから、なんだかなぁですよ。茨木が善だとか悪だとかというのはあまり意味がなくって、ただ彼の目的に強大な力を持つ覇者の首を利用したってだけなんだろうけど、だからといって彼の目指す未来が明るいとも思えないんだよな。
 そういうわけで、どうにもまだスタッフの意図が隠されているような気がするんだけど、事件の顛末は明らかなので、そこらへんじっくり考えると見えるところもありそう。ただほとんどの視聴者は、スタッフがこの作品で何が言いたいのかはよくわからないんじゃないかなと心配してしまう。いや私だってなんにもわかっちゃいないんですけどね。