BLOOD+ 第50話「ナンクルナイサ」

 姪っ子がマルとモロ激似な件について、というより矢島晶子の芸幅の広さについて。
 うーん、なるほど。納得しがたい件ではありますが、小夜が死ぬよりまた眠りにつくほうが物語としてはまとまるんだろうな。ディーヴァを殺すという初期設定段階でのミッションは達成されたわけだし、まぁ姪っ子を殺すというのは追加オプションな訳で、小夜にしてみれば余計な仕事が増えたってことで、できれば避けたいことではあるわな。
 シリーズを通して見れば、確かに小夜を軸とはしているんだけど、カイの成長ぶりが際立っていたように思う。不思議なもんで、噛付き症の彼がなんども心が折れながらも、数々の出来事や人物に出会いって変貌していく様はなかなか腰の据わった描写だったんじゃないだろうかと思うのですよ。彼はもちろん小夜達のように特殊技能をもっているわけでもないし、デヴィッドさん達のように技量が高いわけでも地位的な後ろ盾があるわけ*1でもなく、いわゆる普通の人な訳で比較的視聴者の立場に近い。家族的な繋がりを強調して恋愛感情を隠す様なんかも妙にストイックでついに最後まであからさまにはしないところなんぞ日本男児の本懐とも言うべきか。まぁ旅の途中で自分なりの帰着点を見出して最後にもその描写が見えるなど、メインターゲット層への訴えかけとしては非常に落ち着いたものではなかったかと。まぁ変にヒーローごっこされても困るわけなんですが。
 まぁカイはともかく、もう一つのメインターゲット層への訴えかけも消化されているっぽくて、わりと全方位とは言わないまでも狙った層の獲得はどうだったか?と考えてみると、スタッフは健闘していたと思う。社会批判的なところはちょっと稚拙かな?と思わんでも無いですが、むしろ深く切れ込んだところであまり甲斐はないだろうからこのぐらいの描写で十分だろう。視聴率はふるわなかったようですが、その点だけでこの作品を評価したくは無いかな。まぁ見てもらえないっていうのは確かに減点材料だとは思うんですけどね。固唾を呑んで見守っているのにあ〜ぁというところもありはしましたが、物語的にはけっこう面白かった。絵や音楽は“これは!”というほどのものは少なかったものの特に問題となるようなところも無かった。声優キャストは特に評価すべきだとは思う。まぁ一年間の長丁場、スタッフの皆さんはお疲れ様ということで。おもろ+。

*1:ヴェトナム編にて潤沢な資金が与えられはするが。