Fate/stay night 第13話「冬の城」

 却ってすっきりしたよ。
 士郎のバカさ加減をいちいちあげつらってもよいのですが、むしろなぜスタッフがこういう構成にしたのかを考えてみたい。
 結局今までの描写が、「キレイ事は言うんだけど実が全然伴なわない、後先考えない行動で他人だけでなく自分自身にしっぺ返しが来る」ということに終始しているように思われます。よくよく考えてみれば、この作品が元になるゲームの販促か?と考えてみるとどうもその線は無いらしいと思います。だからそもそも物語の出来を後回し(現時点で本作の物語性の優劣は論じるには早い)にしても魅力的なキャラクター描写をする必要は初めから無い。昨今のアニメ作品がそれ自身のDVDの販促であるという状況からすると、ある程度の原作再現性を保っていれば原作信者がコレクターズアイテムとして購入するだろうから一定量の売り上げが期待できる(と製作者側が踏んでいる)と考えられます。言ってみればスポンサーの縛りがあまりないプロジェクトなわけですよ。となると、士郎をあれだけヘタレに描くのにはなんらかの理由があると考えざるを得ません。
 そしてこの作品はやっぱり主人公である士郎の視点で物語が進行していることから、視聴者にも士郎視点で考えて欲しいと思っているのではないだろうか?。士郎が思慮の足りない行動をしてはその度に周囲の(理解のある)キャラからツッコミがあるってことは、そもそも本作が士郎のようなメンタリティーの視聴者をターゲットにしているとは考えられないだろうか?。
 別にクオリティが低いと言いたいわけではないんですが、止め絵が多いし、声優の出番もそんなに多く無さそうなのでそんなに金が掛かっていそうでもないのですよ。多分制作費が上から降りてきた段階でDVDが仮に売れなくても収支がつくという見込みでもあって、なら製作者側が作りたい作品にしようじゃないかということにでもなったのかも知れず。まぁその作りたいものがいいものであるとも限らず、またそうであったとしても製作者側がうまくハンドリングできるかどうかもわからないのではありますが。
 そうはいっても執拗なまでに士郎のヘタレ描写を繰り返していることには考えがあるんじゃなかろうかと今でも思っております。どうも桜は退場したっぽいし藤姉も出番はなさそう。凛ももう士郎の協力者の立場に安定しているし、イリヤも恋愛対象から外してきました。ここで誰も文句がつけようもないほどの行動を士郎にさせてセイバーに懐かせるということにはなってないのだから、士郎とセイバーの間に擾乱を起こしつつ、人間的に双方を高めつつ寄っかかるだけでない恋愛の形を作り上げていこうとしているのかも知れず。
 折り返し地点にきたのですが、もう胸がすくような展開も、段階を踏まえていく成長物語としても、過度な期待をせずに最後まで付き合っていくことにします。