小さい先輩#12
先輩後輩の関係から友達に昇格してアニメはEND。こういうのはダラダラ続けることに意味があるので、ケリをつけることはないのだけどもまぁなんとか走り切ったなという感覚。中身自体は実は平凡というか、この手の作品としてはありふれたもので本来だったらそんなにストレスを感じるようなものではないんだけど、いかんせん時期が悪いというか、20年、いや10年遅かったなという感じ。戦後から都市部では成人後の男女の出会いの場が少なかったので、カイシャというものが疑似共同体として機能し、そこで男女の出会いの場がセッティングされて女のほうが寿退職することによって都市部でも家族が再生産していったわけだが、その構図が派遣の日常化によって崩れたということになる。バブル崩壊直後はまだ人々の間に、バブルの混乱が収まればまた元通りになると思われてたし、別に一流企業を目指すのでなければ望めば正社員にはなれたという社会構造が崩れ始めたのが子鼠・ケケ中カイカクの頃で、一度は仮病で政権を放り投げたアベが再度権力にしがみついたことで、もう若者の半数が非正規雇用(あの頃、非正規雇用でも職があって大喜びしてた若者が多かったwwwわけだが)になり、もう大企業に就職できなければ、この作品のようなことを望むこともできないと大半のものが確信してると思う。この作品の評価が割れてるのは、まさに勝ち組による評価と負け組の評価に分かれているというそのことに尽きるのであって、勝ち組はこの作品を評価しない理由がわからないというか、勝ち組と負け組が分断されているので、おそらく意識すらしてない。20年前、10年前といったのもまさに上記の通りで、20年前ならまだ個人の選択で短期雇用を選択し、ほとんどのものが望めば正社員になれるかもしれないという望みがあったからこそブラック労働も我慢してたのだし、10年前はアベを信じ切ってたバカな若者がそこそこいたから、もしかするとアベが日本を行動成長期以降のように変えてくれるかもという甘い望みを持っていたわけで、それが10年経ってアベの格差拡大政策(アホノミクスwwwの成果が出て、上級国民はこういう作品を見てのほほんとしてられるけど、半数以上の若者にとってはこれはまさに絵に描いた餅であるということがいやがおうにも突きつけられるというそういうタイミングになったということ。
世に学園モノが蔓延するのも、上記で述べた通り社会に出ればそこがよっぽど男女比が理想的になっているのならともかく、基本的に出会いは少なくなってしまう。成人した後だと大抵お隣さんが…とか、結局のところ空からおんなのこが落ちてくるというシチュエーションになってしまうわけで、そうでなければ男女比のバランスがとれているオフィスラブなのは、もうこれは昔っからそう。学園モノにしてしまうと、時期が思春期なたヒロインを精神的に不安定にしてしまわなくてはならないし、そうではなく、物事に分別のある、いわゆる大人の女性をヒロインにするにはカイシャを舞台にするのがターゲット層を広くとるのに、ほぼ唯一の手段なんだけど、カイシャがもう手の届かないところに行ってしまってるので、そのへん難しいなという感じ。
内容はくだらないし、男の妄想全開といった感じで、オールドスタイルの萌えアニメの範疇なんだが、まぁヒロインはヒロインで可愛く描けてるしちょっとツンめな主人公の幼馴染との対比なんか見てみても、極々フツーのエンタメ作品なのであって、これも別に需要があるからそれはそれで問題はないと思うんだけども、個人的には時勢を見誤ってんジャネーノ?というのが正直な感想。この作品を見てムカムカする層がいて当然だし、しかし原作者や出版社が、そういう連中は見なくなるから、見てくれる人だけを向いて仕事をしますよ、社会的弱者から目を背けて創作活動や商売をしますよってんなら勝手にドーゾってなもんだけど。
俺最強#12
貴族のバカ息子のリベンジを、ちょっと守勢になりながらも返り討ちにしてEND。今回、主人公がちょっと敵の攻撃を受け流しもせずなんらかのダメージを受けてたのが意外というか、この作品は俺TUEEEですべて乗り切ってくスタイルだと思ってたから拍子抜け。別に俺TUEEEを見たいわけじゃないんだけど、どうせ主人公が勝つのはわかっているのだから、余計な時間を取るなよ…ぐらいの感覚はあった。とはいえ、やはり全体的にはこんな三文芝居をほぼ全編楽しんでた。なんやろな?。
ほんっっっとによくわからん作品だった。エピソードも構造もどっかで見たようなものの寄せ集めだし、勧善懲悪要素でカタルシスを得られるようになっているんだけど、他の作品でもそういうのがあって尚ダメだと思ってしまうものが多いのに、なんでかこの作品を楽しんじゃってるんだよ。シナリオも、ドタバタバカコメディではあるけど、例えばそういうお茶らけ要素の仲にも人間に対する何らかの深い洞察みたいなものが織り込まれてたりするんだが、この作品の場合、そういうものが一切ないとは言わんけど、他の作品よりかなり少ないように見受けられるんで、頭を空っぽにして視聴していられるってのはそうなんだけど、毎回だから不思議不思議。妹ちゃんなどの癒し要素など、バランスがいいのはわかるんだけど、それだって他の作品にもマスコットキャラとか素直なょぅι゛ょなんか配置しても「これは受け付けない」というものが結構ある。おそらく読者の意識の動線の誘導の仕方が上手いとは思うんだけど、それだけなのかな?。
なんか続編ありそうな雰囲気っぽいけど、そもそもが引きこもりを主人公は目指しているわけで、「終わりなき日常」ならこういう終わり方でも全然違和感はない。でもまぁ2期があったら喜んで視聴しそう。
繰り返しになって申し訳ないが、ダメなところはいくらでもあげられるのに、この作品の面白さの本質を全然見つけられず、楽しんで視聴してたという事実だけがあるという謎の作品だった。ホント誰かこの作品の魅力を具体的に教えて欲しい。似たような作品にRPG不動産があるが、あれは自分が言語化できないだけで、あの作品が面白いという確信はあるので、そういうのとも違う感じ。
ラグナ#1
少年漫画のアニメ化。あんまり気乗りしてなかったんだけど、視聴したら結構熱くて意表を突かれた。主人公がこの#1では同一人物で二人出てくるのだけども、主人公が過去に転生して若返ったとも見ることができるし、同じ見かけのキャラに別の人格が乗り移ったようにも見える。そのへんの過去の自分と未来の自分が同一であるというのはセリフにされてたし、弱かった主人公がいきなり強くなるのは、過去の自分が積み上げていたもの、つまり貯金を返してもらったともいえるし、そうではなく弱かった自分がスキルや能力を前借り、つまり借金してこれからの行動の原資とするという意味では極めて資本主義的なので、いかにも現代的なテーマともいえる。
それでいて、過去失ったかけがえのないものを守るために今全力を尽くせという、少女ヒロインの有り得る死を補助線として、のほほんと生きている若者に、今人から与えられるのを当たり前と思ってるから自分が努力せずに過ごせているけど、もしかしたら自分の気が付かないところで重要なもの(自分の未来とか可能性とか)を失ってるかもしれんよという強いメッセージになっていて、なるほど少年漫画にふさわしいストーリーになってるなとは感じた。
ただ、これ若いうちはなかなか気が付かないもので、あとになって若い時ああしとけばよかっただとか、時間を無駄遣いするべきではなかったと後悔するので、補助線の引き方としてはむしろ少年向けというよりはオッサン向けの共感要素が強いように感じる。
これ、やっぱり時代の流れを感じてしまうもので、自分の頃は将来の夢がどうのとかは割と語られがちなんだけど、自己決定権を行使して自分の夢を設定し、それに向けて頑張れ…みたいな流れよりは、今やってる勉強が何の役に立つのか深く考えずとも、つべこべ言わずとにかく後になって後悔しないよう勉強しろみたいな言説の方が多かったわけで、今になって思うと、これ昔の方がありがたかったよなぁとしみじみ思う次第。今はともかく選択肢がたくさんあるのだからその中で好きなものを選べ、その夢に向かってコスパ・タイパを考えてうまくやれ見たいな流れになっていて、しかもしんどくなったら学校行かなくていいよ、学校の教え方が悪いから政治屋が懲らしめてあげるので教員の悪いところを教委や自民盗にチクれ、学校だけはトコロテン式に卒業させてやる。スマホもゲームもやり過ぎると勉強に差し支えるけど規制はしないよ、どんどん消費して経団連が肥え太るよううまくやってくれなのだから、いくらでも逃げ道が用意されてる状態。当然上級国民は、国民を権力者と奴隷に分断してる張本人なのだから、自分の子弟には庶民から搾り取った富で十分な教育を施しますよーってなもんだから、割と多めの若者が享楽的に青春時代を過ごし、気が付いてみたら非正規雇用の奴隷になるしかない状態になってるわけだ。しかも娯楽は(当然課金前提)用意されて適度にガス抜きされて、自分が奴隷の状態に据え置かれてることにすら気が付かないようになってる(Z世代と持ち上げられているが、貧乏に据え置かれているのを肯定的に受け入れさせられているだけのマヌケ)のだから、これ、若いうちに厳しく接せられた昔と、甘やかさて将来のために努力しなくても当面過ごしていられる現在と、国が一つの共同体としてどっちがマトモだったのか、見かけの豊かさとは誠に恐ろしいと思わされる#1だったとかそういう感じ。
うーん、#1から見ごたえがあったので、もうげっぷが出るほど満足しちゃったというか、少女ヒロインも死なずに済んだというHEという形になってるので、これで最終回でもいいくらい。自己変革がメインテーマだとしたらこれで話は事実上終わってるよねという感じなので、今後どうするんかなとちょっと心配要素がないでもないというか。
あと、馴染みのケーキ屋が強盗に襲われて、それが理由で国が滅ぼされるというのは、龍の言い分が正しいと思った。これねー、自分が住んでる街、一時期ケーキ屋が町中に5~6軒ほどあったんだけど、今ホントに少なくなってほぼ1軒しかない(1軒は常時営業店舗だけど、もう1軒は不定期営業で、今その店の前を通ることが無いから今も見せ自体があるのかどうかも分かんない状態)。なので、強盗というのが必ずしも現地民による強奪ではなく(だってケーキ屋に押し入ったところで一日の売り上げ程度のカネしか取るものが無いので)、おそらくなんらかの比喩であるニオイがプンプンするんだよね。