農民関連#9

 主人公の過去話。え゛っっっ!、って感じ。今までの話と全然出来が違う。結論からすると、主人公が農業にこだわる理由としては十分すぎるほどで、リアリティも高め。というか、ここからここまではファンタジーですよという提示がちゃんと視聴者にもわかるようになっていて、リアリティ薄めの部分はちゃんと区別されてるという親切設計。
 みなしごが話の軸に据えられてるわけだが、野菜ドロボウをして奴隷商にうっぱらわれるというのはあの村が全体としては生産量少な目の貧しいところであると思われる。日本でも中世では領主の重税に耐え兼ねたり、そこでいくら働いても思ったような収穫が得られないところでは逃散農民が出てたのであり、では、逃げた農民はどこへ行ったのかと言われたら、盗賊集団に入ったりもしてたのだろうが、日本全体が飢饉でどこに行っても飢えるということがない限り、他の土地で受け入れられてまた農民をやってたりしたので、労働力として吸収されず奴隷商にというのはそりゃその土地も貧しいんでしょって話。だからこそ今回の話のように食料が貴重だからこそ感動話にもなるわけで、アタリマエに溢れていたらそうはならんでしょということ。
 主人公の両親も元々は農民だったというのも、まぁ確定ではなかったからこれでようやくといった感じで、父親が背負ってた米も、オイオイ田んぼの描写が相変わらず無いジャンと思いはするのだけども、自分トコロで取れた米を自家消費するのなら米俵にしてるはずもない*1ので、おそらくどこかで買ってきたか物々交換して運んできたと思われる。一俵よりは若干多そうな感じではあるが、米一俵なら大人一人4~5か月分ぐらいの食糧にはなると思うので、それでみなしごとの交換にはまぁ悪くない相場。
 うーん、今回の話がこれだけ出来が良いとなると、今までの荒唐無稽なストーリーはいったい何だったの?みたいな。いやまぁもちろん今回の話を引き立てるために、というか落差を作り出すためにってのはよーくわかるんだけども、ここまで読み進めることができなくて脱落する読者なり視聴者は多いでしょみたいな。まぁ今回のような話ばっかでも説教臭いだけなんで、バランスのとりかたではあると思うんだけども、それにしてもねぇ。次回からどういう話になるのか、また荒唐無稽のままなのか、今回の話も踏まえてもうちょっとバランスが考えられた展開になるのかよくわからんところ。
 ゲストヒロインの声、@田村ゆかりによく似てるなぁと思ったんだけども、まぁ当然というかご本尊でしたという。見た目からしゆかりんキャラでしょとも思うんだけども、もうそういう役はこの人以外いないという存在感だよな…。



悪ラス#10

 魔王さま記憶喪失編続きの巻。あーこの作品もおもッ苦しいなぁと思いかけてたんだけど、なんというか、セリフの一つ一つにちゃんと意味を込めてあり、それが空中戦を繰り広げているのを見るとやっぱり見ごたえあるなぁという感じ。しかもあれだけ行動力があって機転もきくあの主人公にもわからないことがあるという絶妙な瑕疵の与え方、もう全編通じて濃密としかいいようがないという。
 しかしまぁ、アヴァンで腐れ縁の男に呆れさせていたんだけども、あれだけ器量よしで機転もきく、自分の力ですべてを切り開いていく力強さが有りながら、それでいて心はオトメな主人公が、捕獲後も「釣り上げた魚にもエサを与える」がごとく愛を育んでくれるんだから、もうこれ以上イイ女はいねぇだろぐらいに自分は思ってしまうんだけど、重いのかな?。


宇崎2#9

 箱根小涌園ユネッサンとのコラボ企画回。よくわかんないんだけど、アニメオリジナル回なのかな?。その割に脚本は原作者本人が担当。宇崎家が気後れした長男除いて当該地を堪能する話で、主人公?の先輩とも、偶然出会った形にはしてたんだけど、立ち話を一通り交わしてその後の絡みは一切なし。
www.yunessun.com
魚拓
 昨今のポリコレに配慮してか、アニメでは露出度高めの水着を着用させてたけど、ユネッサン側は一枚羽織らせて水着部分は隠してる。家族をターゲット層にしたコラボなのだろうから、当然と言えば当然だとは思うが、まぁなんというか、赤十字の件でキチフェミに大炎上させられたので、もしかしてもう一回キチフェミが燃やしに来れば、それもまぁいい宣伝効果になるんじゃね?という下心があってもおかしくはないけど、これだけ普通だと文句のつけようもないかと。
 なんか数日前にも大阪駅の咲&雀魂の宣伝ポスターにケチをつけてた“元”議員もいたし、富良野&邪神ちゃんコラボに地方議会がいちゃもんをつけていて相変わらずやなといった感じだのだが、今回のコラボ企画も実施地側でこれだけ対フェミ防御がなされているといよいよポリコレ対策が内包されていく流れなんかなという時代性を感じてしまう。1期は鳥取だったか…とのコラボ企画で、この作品が引き合いに出されるのも、出版社側の営業努力もあるんだろうけど、客誘致のためにはあまり外見を取り繕ってみても凡庸になってしまいかえって宣伝効果が薄れてしまう実情もあるのかねぇといったところ。温泉娘も燃やされちゃったし、レッドオーシャン分野では突き抜けることも大事なんだろうねぇ。
 ちなみに本編はもう宇崎家の話がメインになっていて、父親と主人公?がいつ鉢合わせするかという段階で、だらだら引き延ばしをやってる。宇崎家の女衆は主人公とも顔なじみでヒロイン?との関係も周知だが、男衆は父親とは勤務先のジムで既に顔なじみだが、ヒロインとの関係性については無知、長男は顔は合わせてるけど顔なじみではないという状態。
 なんつーか、形の上では恋愛結婚という流れになるんだろうけど、本格的にカップルとして認知されるためにはまず双方の家族との合意が得られなくてはならない…というのは見合い結婚と何ら変わりが無いし、これだけ長期連載されるとそのうち男側の家族も登場せざるを得ないと思うが、基本女の家族が優先される…というのは、平安時代、下級貴族が成り上がるためには高位の貴族の娘を射止めるしかない、そして娘側としては配偶者の決定権は父親にあるんだろうけど、選択権は天皇に嫁ぐというのでもない限りほぼ娘にしかないから、父親は娘が選択しない相手は決定権の埒外という構造はこの作品でも相似形で提示されていて、それはそれで面白いんだけどもまぁそれがメインでも何でもないような気はする。

ステマ#9

 盗掘騒動の終結と踊り場回。やっぱりマネジメントメインテーマやなという感じ。状況の把握と役割の振り分け、事態が整理出来たら適切なリソースで問題の解決あたり。盗掘者を許すつもりなんだろうなという感じがミエミエだったんだけど、依頼者の抱えてた問題に繋げてたから一連の話としては良く組み立てられていたと思う。カスタマーを見くびってそこそこの商品を売りつけてた…というのは、大して機能が向上してるわけでもないのにマイナーチェンジを繰り返して買い替え需要を“創出’www”したり、要らぬ機能をつけたして新商品と売り出してみたりのトヨタあたりを筆頭とする日本の庶民向け製造業のありかたを痛烈に批判ってとこかねぇ。
 精霊族の双子のお悩み相談についても、まーフツーに考えて、後から付加された能力が発現して解決ってのもミエミエで、しかし主人公のあの慰めもなんか意地悪というか、あれは双子を安心させるための方便で、もしアレを心の底からそう思っているのならよほどの世間知らずというか…。パワハラに遭った社畜だったら、あのセリフを“ネーヨ”と笑い飛ばすハズで、あれを納得するのは“社畜が成果を上げられないのは社に対する忠誠が足りないからだ”と本気で思ってそうなパワハラ上司だけではあるから、ある意味そういうのを炙り出すリトマス試験紙のような役割のシーンではあった。というか、今の日本で、

  1. 社会に役に立たない人間→
  2. 企業なりの利益に貢献できない人間→
  3. でも企業が利益を上げるってどういうこと→
  4. 食糧生産性が飽和した先進国では本当に生活に必要がある商品を作りだせていないので、とにかく必要もないものを広告宣伝で消費者を騙して売りつける→
  5. ってことでしかないので、逆に不必要に大儲けしてる企業やその経営層や社員の方が社会にとっての寄生虫というか、むしろ害虫でしかない

 から、まぁそのへんああいう言い方しか出来んワナというお話。
 ヒキで勘違いロリコン男登場で、OP映像やED映像で出てきてるキツネ耳の最後のメンバーいつ出てくんの?と思ってるのだけども、全13話と1クールフルに使いきるようなので、まだ尺的には余裕がある模様。

スパファ#21

 職場の同僚(女)が押しかけてくる話。メインストーリーにようやっと着手かと思ったら、そう外れてもないけどまだまだ脇道だった。銀髪ボブの本心は娘の読心術以前に視聴者にも早めにわかるようになってたし、ギャグとシリアスのバランス自体はよく取れてたと思った。というより、コレ。
harumi.land
魚拓
 騒動の起点になったと思われる冒頭のツイは自分も目にしてたから気にはなっていたけど、こんなにバズってまとめが記事になるほどとはさすがに思ってなかった。東西冷戦を暗示してるとはいえ、あまりにも雑だと感じてたというのは前から言及してたのだけども、この作品にいろいろ疑問を感じてた読者(視聴者)も結構いたということらしい。なんか安心というか。
 漫画を描くにしても、テキストメインの小説家同様、綿密な調査をするのはもうこれはアタリマエの話であって、そりゃ東西冷戦の構造がオカシイなんて本人自体もわかっていたことだろうとは思うんだけども、なんやろ?、やっぱ編集の介入なんだろうねぇ。チェンソーマンと並べて売れ筋作品を連発する敏腕編集者とか話題になってたけどhttps://twitter.com/shiheilin、裏方である編集が、『俺が育てた』とばかりに盛大に表に出てるのは、まぁそうなんだろうなという感じ。そういっても実際に売れてカネにしてるんだから才覚はあるとは言える。
 チェンソーマンのほうは自分の中でもまだ勢いが衰えてない…というか、現代日本にもリンクしてる部分は大きいし、なんのかんのいって動物的な欲望が直接生きる力に繋がってるという主張も悪くはないと思ってるので、このまま印象が良いまま突っ切ってアニメ最終回を迎えそうな気はしてるんだけど、そのへん両作品における編集の介入具合はどんなのかねぇと、これはさすがに裏事情までは分かんないので何とも。
 本当は社会構造なりもっとキャラの行動や生き様を切れ込んで描いてみたいが、それができないから仕方がなくデザイナーズチェアという些末な部分にこだわるしかないというのもわからんでもない。キャラに思い入れがないというのも、逆に作者がキャラに思い入れを持ちすぎて作品がダメになっちゃう場合も多々あるので、そのへんはプロの仕事としてちゃんとキャラをコントロールして作劇してるんですよということでもあるとは思うんで、その部分に反応しても仕方がないのだけども、まぁ確かに違和感を持った読者や視聴者がいて、それでも見切られないだけの実力はあるんだろうなという感じ。

後宮の烏#9

 トラブルシュート一題と主人公の身に迫る危機。今までは困ってる善人の依頼を解消するという形だったのだが、今回はむしろ困ったちゃんを何とかする話だった。
 うーん、出来は悪くないので言及することがあまりないという。依頼内容を語るエピソードのまるで影絵のようなデザインとか、調度に描かれていた絵画のデザインとか、シルクロード交易で賑わっていた頃の絵柄にそっくりなので雰囲気出てるなとは思ってた。
 まぁ方向性も見えてることだし物語として大きなミッションを達成できなくても基本満足してるというところ。

ぼざろ#8

 台風中の初ライブの巻。一曲目はてんで調子が出なかったのに二曲目で持ち直して居酒屋で打ち上げという流れ…と書くと全然大したことの無いような回のように思えるのだが、主人公が一皮剥けるのでとんだクライマックスだったという。
 一曲目、主人公がモノローグでダメ出ししてたのだけども、二度見してじっくり聞けばベースが音を抜かしたりテンポにあっていなかったり、vo.もうまく入れなくて伴奏に合わないとか、ドラムも二曲目で音がはっきりするんだけども、これ言われなくちゃ自然にこういうものなんだとミスに気付かず流してちゃってたと思うんで、この下手さ加減のバランスはなかなか難しいなという感じ。というか、vo.は赤毛キャラの@長谷川育美本人が担当してるみたいで、ここでも声優と歌手の両スキルを求められてるんだなと今確認した次第。毎回エンドロールで結束バンドと書いてあるからまぁそうなんだろうとは思っていたのだけども、改めて確認すると驚きもひとしお。
 ここで各キャラの思い入れや動機、覚悟も示されて単なる打ち上げでホッと一息つくんじゃなくて緊張感を持続させるのなかなかズルいというか、これからの展開に期待度も上がろうってもんですよ。でももうアニメは終盤に突入だよね。

*1:保存のために米俵にするのはわかるけど、それなら運んでいるという描写がオカシイということになるので