1stQ2022終了アニメ 簡易まとめ

司書#27

 なんか前回貴族に差別されて窮地に陥っていたのをさらに上級の貴族に救われて…みたいな流れだったように思うのだが、騒がしくもいつもの日常がかえってきたような話。
 活字やインクなど、割と製本技術が近代に近くなってきたが、ストーリーのメインはどちらかというと近代的価値観と前近代的価値観の対立もしくは相克みたいに自分は思ってるので、その辺どのように処理してくるんだろうというのは気になる。ただ、作者としてそれをメインに置いてるかどうかはわかんないし、製本の歴史がメインでドラマ部分は飾りってこともありうる。
 本の普及についてだが、個人的にはやっぱり識字率の問題は避けて通れないし、短期間に紙の値段がそう安くなるとも思えず、新技術を持ち込んでも投資額を回収するまでそんなに製品価格が安くなるはずも、あの前近代的世界では難しいと思うので、どう加速装置を使うんだろうという感じである。
 エピローグ小劇場でも大量生産による価格暴落というのは、やはり大量生産そのものが近代の産物なのであの世界の住人にはそりゃ理解できないだろうしメリットもないんだろうというのはわかる。インク商会がものすごい剣幕なのも、おそらく主人公の売った本の価格から逆算してインクのコストがだいたい分かり、その値段で普及されたら淘汰されるのを肌で感じたからなのではという気はする。商売が制度でガチガチに固められてる世界では、その業界が食っていけないとなると簡単に業務転換なんてできないからそりゃ必死にもなるわけで、こういう善悪二項対立で描いちゃっていいのかな?、それともその辺の落としどころはちゃんと考えて話を作ってるのかも…という可能性もあって現段階ではよくわからん感じ。

ヒーラーガール#1・2

 歌で人を治療するヒーラーを目指す少女たちのお話らしい。OP映像中のクレジットに入江泰浩監督の名が見え、嫌な予感がしたのだが、この2話分視聴した限り微妙なところ。入江監督はシナリオよりは動画の人という認識で、初監督作品のクラウが自分にとってはイマイチだったのだが、それと同じ雰囲気を感じた。ただ、脚本とシリーズ構成は木村暢で、ざっと確認してみるとソルティレイクロスアンジュアリスと蔵六、スケスタと、個人的にシナリオの評価が悪くない作品群を担当してるので、どうなるかかなり未知数。
 今のトレンドが物語に積極的に歌、というかアイドルの要素を入れるというのがあって、まぁアイドルに元気をもらいましたというファンは多いから、歌が精神的にヒトを癒すというのは安直ではあるが、それをクローズアップして物語を編むのはそれなりに挑戦的であるとは思ってる。ただ、それを医者と同等に扱うという設定が、#1を視聴してかなり疑問に感じてしまい、そのへんどう処理するのか、期待してよいのか迷う。やたら医療行為ということにこだわっていたのだが、#1で主人公のうちの一人の少女が治療行為になってしまうのを回避するために、倒れた婆ちゃんを安心させるために施術するというのが、最初はなるほどと思っていたのだけども、その後気管支の持病があると聞いて、気管支の発作なら、精神安定剤の投与と同等の行為は治療行為そのものでは?という疑問が発生し、もしこれが治療行為でないというのなら、そもそもこの作品のヒーリングという行為は、別に患者に投薬したり注射を打ったりなどの内科的、手術などの外科的手法をとってないのだから、全体的に治療行為に当たらないのでは?ということが思い浮かんでなんとも残念な気分になった。
 そもそも歌に治療効果があるというのなら、別に一般人が口ずさむとかカラオケで熱唱してもなんらかの効果があるということにもなる。治療行為が限定されているというのは、使い方を間違えば人を殺しかねない危険性をはらんでいるという名目なので、そう日常的に一般人が歌を歌うことによって危険性が生じるってのもヘンな話だし、訓練すれば歌に治療する力を与えることができるのだったら、なんで免許として限定するのか、医者や看護婦だけに許されてる治療行為は、上記の通り人を殺しかねない技術だから専門知識を持った人たちだけに限定するという意味合いもあるが、もちろん一般人に治療行為ができてしまい、医者や看護婦に面倒見てもらわなくても治療する可能性があれば、医療業界のおまんまの食い上げになるので、医療業界の既得権益を守るためという要素もあるのであり、そういう裏事情も考慮に入れるの?という話なのであって、しかしおそらく歌を歌ううことを別に一般人に禁じてるわけでもないんだよね…という。
 なので、そもそも歌が持つ精神的にヒトに影響を与えるという要素を、実際の医療行為に仕立てあげる設定にどうにも突き詰めている感じを受けないというか、そのへんはテキトーに視聴者の方でスルーしてくれみたいな雰囲気を感じてどうにも物語に乗り切れなかった。
 ただ、やはり入江監督は動画の人ではあるためか、視覚要素や、聴覚要素とのマッチングは素晴らしいとは感じた。まぁ難しいところで、彼は彼なりにオリジナル作品だったらやりたいことがあって、それは多分多様性を重んじる世界観だとか、なにか世の中は人に優しくなれるよう前進していくんだという近未来を明るく描きたいという欲求みたいなものがあって、ディテールはあまりこだわらなくてそういうイメージを中心に動画を組み立てていきたいんだろうなと勝手に予想しているのだが、クラウなんかではそれは上滑りしてたと思っていたから、どーなのこれは?みたいなものがつきまとう。視聴者としてはそのイデオロギーを大切にしたいんなら、もっと稠密なシナリオを書ける人を読んでその人に敬遠させるのではなく徹底的に設定を詰めてある程度リアリティも追い求めるか、それともそういうのをかなぐりすてて、荒唐無稽でもいいからとにかく突き抜けた作品にして驚かせてほしいかのどちらかが見たいと思うんだが、まぁそのへんは監督もそれなりに好きでこの仕事をやってるのだから、彼の思い通りの仕事をしてもらって、こちらとしては出来上がった作品を見て評価するしかない。上記の通り、脚本家自体はそれなりにしっかり仕事をする人なんじゃね?とは思っているから、現段階で自分には微妙だと思えても、途中から目覚ましく変わる可能性もあるんでそのへんは様子見するしかない。

1stQ2022終了アニメ

 錆喰いを視聴し終えてようやく一段落ついた感じ。先延ばししてるとまとめがめんどくさくなるので拙速重視で書き殴りたい。

  • 錆喰い 客観的に見ると出来は良い。メッセージ性も自分好みだし社会批判も入っているのだけども、話立てが古臭く単純で、個人的にはノリ切れなかった。
  • スローループ 趣味紹介としてはよくできているし絵とのバランスも良い。キャラの関係性に作品の軸足があるのだが、個人的にはドラマ部分のパンチが弱く感じた。まったり風味が味と言えば味だし泣けもするから悪くはないんだけどね~。
  • ドルフロ もうちょっとゲーム紹介に寄ったものかと思ってバカにしてたら、主要キャラは都合よく使い捨てられる労働者の記号が読み取れて世知辛い世の中をどう生き抜くかの視点まで達していたのは意外だった。いろいろ雑な部分はあるが個人的には悪くなかった。
  • 現国アニメ 説明口調でエクスキューズが多いのでドラマとしては及第点ではないというのが正直なところ。ただ、一つ一つのイシューに当たり外れはあるんだけど、個人的には視聴者との対話姿勢に好印象でそれなりに好きな作品ではあった。
  • 王ラン 何度も述べているが作劇手法は卓越してるしエンタメとして絶賛されているだけの実力はあると思うんだけど、自分には合わんかった。王がテーマなのに民との関係性が深く述べられてないことが個人的には不満だったのだが、アニメの続きでそれが語られてるかもしれず、そのへんどう評価すべきかはわかんない。
  • わしかわいい 結局俺TUEEEだけで終わったように感じる。ストーリーもゲームのクエストを淡々とこなす構造から抜けてないように見えるので、出来の悪いリプレイ記事のような印象を受ける。この作品の魅力はおそらく今期アニメ版部分には表れてないのでは?。
  • 天才王子 中盤までいろんなキャラが腹の探り合いをしてるところは楽しく思っていたのだけども、ご都合主義が過ぎて途中から萎えた。ラスト強国の王もええキャラしとるなという感じでちょこちょこ魅力はあるんだけども、小手先の手法に頼ってるように見えてこざかしく思ってしまった。
  • ファ美肉 ジェンダー問題を面白おかしくおもちゃにしとるなという感じでテーマ的にはみるべきところはなかった感じ。軽妙なギャグが楽しみどころと思っていたら終盤はそれも失われて空回りしてるように感じたのは失点と思ってる。
  • 24区 貧困問題や搾取構造を中盤切れ込んできたのは個人的に高評価なのだが、正義の味方というウリでドラマ部分を荒唐無稽にしてきたのが残念。シリーズとして作品を末永く育てていくんだったらあの三人のキャラ立てはいいと思うんだけど、この作品で使い捨てるんだったら深みも重みも感じられなくてちょっと残念。光るものはところどころ見られたんだけどね…。
  • ハコヅメ 思っていたよりフツーの作品だった。警察の悪口は予想通り描いていなかったし、そのへん予定調和やなといった感じ。ただ、キャラクターは警察の仕事に一生懸命な善人というヨイショ作品ではなくて、彼らも市井の苦労するサラリーマンの一人という描き方は落としどころとしてよかったとは思ってる。放映終盤にはいつもの神奈川県警の不祥事が報道されて生暖かく視聴できたよね…。-
  • オリエント キャラに成長余地を最初に大きく持たせているせいか、どうにも年齢層低めのような感覚があってイマイチと思っていた。が、あんまりキャラを美化してるわけでもなく、割と人間の持つ闇の精神性にも切れ込んでいて、年齢層低めの作品としてはなかなか頑張ってるなという印象は受けた。
  • 高木さん3 今期はどちらかというと高木さんに思春期特有の不安定さをもってきて、二人の関係性に大きく変化はなかったのだけども、二人の成長具合に微笑ましさを感じて飽きることがなかった。
  • 失格紋 これも俺TUEEEで終わってしまって深みはなかった。ただ、すでに述べたように教育とはというテーマが仕込まれているようで、その関連もともに追っかけてるとわしかわいいほどの単調さは感じずに居れた。が、三文芝居ではあるわな。
  • 着せ恋 ラブコメとしてもお仕事紹介としても、叙情的な作品としてもなかなかハイレベルの作品。作者も「消費による自己実現」を意識してストーリーを考えているんだろうけど、ヘンに批判的でも好意的でもなくごくごく自然にドラマを組み立てていたのが印象的だった。
  • 明日ちゃん ノスタルジーの極致。キャラは現代に寄せてるけど、精神性は昭和期のものだと思う。こういう世界はほぼ手の届かないところに行ってしまったと思わざるを得ず、基本的には感傷に浸る作品だと思う。
  • 怪人開発部 もっとスチャラカした作品だと思っていたのだけども、特撮ヒーローモノのお約束とサラリーマン応援歌的部分をよく組み合わせてエンタメとして消費する分には楽しめる作品になっていたと思う。
  • 週末のハーレム 都度感想で述べた通り、タイトルから予想してしまうように女が男に都合の良いキャラになっておらず、各キャラ思惑があって行動してるって部分に感心した。色気を客寄せパンダにしてる割には人間をそれなりに描いてると思う。
  • リアデイル キャラの設定からして結局やっぱり今与えられてる生を一生懸命生きようというテーマのように感じた。構造的には俺TUEEEなのだけども、個人的にはその真摯に生きるというテーマが上回ってると感じていて、評価は高かった。
  • 殺し愛 フツーのメロドラマではあるんだけど、それなりに楽しめたというか、あんまこういう作品にテーマを求めてもいかんのだろうなという感じ。
  • 时光代理人 今まで大陸アニメはジャパニメーションと比べてどう違ううのか見たいなものが論点で、全体的なクォリティはいわんでもわかってるでしょ見たいなものが多かったのだが、話立てがよくできててビックリした。
  • マギレコ 解釈が間違ってるかもしれないが、アレはよりによって主人公が魔法少女から魔女への避けがたい宿命をなんとかできるはずだったのに自分の手で潰した…というBadEndだと思っているのだが、そういう救えない構造・結末を自分は評価してる。ただ、そうなるとFinalシーズンまでの2クール弱はちょっと退屈だったかもという気がしないでもない。ただ、よくできた作品とは思ってる。
  • 86 2クール目を視聴し終えて、やっぱり1クール目よりはるかに劣るという評価。プラモ売りたかったから2クールやったんかね?、1クール目でやめとけば…とは思うが、そのへんはなんとも。


 とりあえず駆け足でまとめてみた。誤字脱字もチェックしてないし、抜けもあると思うんだが、修正や追加は気が向けば後日。