真の仲間#10

 主人公と妹が旧交を温める話。なにやら哲学的な話。ストーリーとしては抑揚のない展開なんだが、これ、社会的な期待だとか役割と、個人的な生き方の対比なので、この作品でいうところの加護だとか使命というのはいわゆる単なる記号であって割と万人向けの問いかけであることがわかるし、なるほどTVシリーズでは割とクライマックスであるところの#10付近に持ってきたのはこれがメインテーマだからなんだろうなというところ。若干話の熟成度がイマイチなところはあるのだが、今までの積み重ねの上で展開されるあたりはいろいろ考えさせるに十分だし、問題提起としてよくできてるのかなといったところ。

暗殺貴族#10

 銀髪と主人公がデートをする話。ヒキでそれなりに衝撃的な展開って感じになるのだが、#1で一緒に仕事をしているのだし別に主人公が家を捨てるで間違いないとは思うんだけど、そのへん自分の当初の目論見であった、ヒロインズ勢ぞろいでトラブルシュート的なストーリーは見事裏切られたということになる。ただ、そういうお仕事稼業を丁寧に描写されたところで、おそらくそれは本質ではないのだという気はするからヘンに時間延ばしをしないというところではなるほどといったところ。
 ここにきて、ストーリーはともかく、構造が結構オモロイ感じ。主人公にとってはいちおう請け負ったミッションが勇者の暗殺なので、それが至上命題というのであれば、暗殺に必要な道具を優先させるのは当然で、だからこそ家から学ぶものはないということであれば捨てるという判断は合理的。なのだが、これは主人公の育ちなおしという側面もあるので、それとの板挟みということにはなる。家を捨てても両親を殺すことになるのかどうかまでは今のところ読めないが、別に捨てなくても共存は可能なのかもしれず、また暗殺に必要な道具だからといってヒロインズ三人が揃い踏みすることが必要不可欠な条件であるという風にも示されてないから、そのへんの不確定要素込みでアンビバレンツな選択にも見えるが案外抜け道はありそうな感じではある。ただ、筋を通すという意味ではやはりどちらかを選べばどちらかを捨てることになるのはほぼ間違いないので、そのへんのバランス感覚は今のところよく考えられてるなという感じ。
 女神パートで教員が召喚されて、その後の顛末が示されてなかったから、果たして主人公の勇者暗殺が至上命題なのかもよくわからんようになった。女神としては勇者暗殺というより世界滅亡を防ぐことが最優先課題なのであって、勇者暗殺をしなくても済むのであれば別にそうであって構わないという。主人公も暗殺のための条件を整えることで動いているが、今までの流れからすると、大局観も身に着けてきた…という流れなので、暗殺NGで世界の滅亡防止が優先事項に切り替わったところで方針変更は可能なんだろうなと。
 銀髪の貴族としての心構えだとか、まぁ普通令嬢ならオブジェクトとしての振る舞いを要求されるし現実にはそうであることが多いと思うのだが、プレーヤーとしての振る舞いとかちょっと場面が引き締まったなという感じ。でも主人公側、そこそこ調査能力があるというのに、実情を探り切れてなかったように見えるのはよくわからん。わかっていてわからんフリをしてたのか、それとも本当にわかってなかったのか。まぁわかっていたのであればヒキの展開を回避するよう裏工作なり対処なりしてたハズなので、ここは素直にわかってなかった…とみるべきなんだろうけど、それも視聴者に対するサプライズとしての話立てなのでなんとも。