タクト#9

 メインキャラ二人の契約は解除できないらしく、また戦えばお互い消耗して寿命を縮めるということらしいことがわかる話。
 敵を呼び寄せる音叉の音が聞こえるというセリフがあり、天国ちゃんが不穏な顔つきで、天国と地獄がセットとくれば、黒幕なのかなと思わざるを得ないのだが、そのへんは先の展開待ち。主人公が音楽のためにそれでも戦うという決意は若いねぇというしかないが、主人公が音楽以外についてはポンコツだからそれに縋らないといけないといけないのは彼に関してはそうなんだろうなとは思うにしろ、そんなに音楽が必要なんかね…とちょっと困惑する感じ。今でもあの世界の住人は音楽無しでも生きているのだし、これだけ音楽が商業主義化した現代はともかく、前近代は音楽なんて労働歌とか讃美歌みたいな宗教がらみのほかは貴族のたしなみ程度だったわけで、音楽があれば潤うのはそうだとしても生活のために決してなくてはならないものではなかったはず。
 しかし、今やラップですら音楽扱いなわけで、そうなると詩を吟ずるとか言語の発声自体が音楽性を帯びてるものとか、それだけで敵を引き寄せてしまいやしないか?という気がしないでもないが、あーでも敵をおびき寄せるのは音楽ではなくて音叉の音だというならもう関係なくなっているのかもな…。

電池少女#8

 三人目の電池少女がやる気を出す話。三人目がひきこもりになった理由だとか、ひきこもりにも大切なことがある以上のものはあんまり見当たらなかった。途中、副指令が時間稼ぎをするシーンがあるんだけど、言い訳の内容に意味はあんまり見当たらなかったし、メインシナリオにそれほど強いメッセージ性もないから尺が余ったのかなとかぼんやり考えてた。
 しかし、敵方もオタク文化をバカにしているようなのだがこれが難しい話で、転移してくる前の世界では何で食ってたの?という疑問はある。先の大戦で負けなかった世界線から来たという設定だが、だとすれば軍事偏重産業からどれだけ転換できたのか不思議な感じ。
 戦後は日本も加工貿易で食っていたわけだが結局それも破綻した現在、もはや資本主義国では生存に必要な物資はほぼ行き渡ったわけだし、ではそこからさらに生産を続けてカネ儲けをするということになれば、決して生存に必要ではない製品を売りつけるしかないという流れなのであって、例えばバブル期なんかは車のマイナーチェンジを繰り返して消費者に買い替え需要を突き付けてきたし、日本の白物家電が決して使わない機能を盛り込んでそれで世界戦略製品を作れなくなったという流れになってる。製品の使用価値ということであればもう十分に充足してる状態で、それ以上の価値を提示できなければ消費者に選択してもらえないのだ。そのプラスアルファの価値を作り出そうと必死に製品開発してるわけなのだが、もともと必要もないものに価値が認められたらそれはそれでマネタイズの機会はできるのではあるが、消費者が冷静にでもなってそれが決して必要もないと判断されたとたんに価値は暴落する。そしてそれが極限まで高められたのがサービス業なのであって、物質としての実体のないものにカネを払わせてるわけだ。そしてその最たるものがオタクコンテンツだったりする。
 なので、そういう生活にとって決して必要のないものは別にオタク文化だけにはとどまらないのではあるが、しかしもともと価値のないものにカネを払わせて維持していかなくてはならないのが後期資本主義の宿命なのであって、この世界の日本を占領してる敵方はどういう経済構造をしてるのかちょっと不思議な感じではある。オタクコンテンツを敵視するのであれば、上述の決して使うことのない機能を盛り込んだ家電なんかも敵視の対象だろうし、機能に関係ない外面だけを変えた輸送用機器なんかも敵視の対象だろう。なら何を作って社会維持の原資にしてるんだろうなという。