たんもし#12

 なんかしらんがSPESなる敵の組織と戦うことを約束してEND。ラストとしてはよくできていたのだが、全体の構造をイマイチと感じてしまってるからなんじゃこりゃ状態。結局この最終回も夫婦漫才もしくは痴話喧嘩で、二人の関係性が極まったらそれをブレイクするためだけに敵が攻撃してきて、ありゃ、もうアテ馬以外の役割ないわ~みたいな感じでシラケてた。
 しかしなんだな、探偵というから一般人の依頼を受けてそれを解決する、その過程で依頼者や加害者の人間性に触れ、そこに人間としてのあり方、理不尽にあった時にどう振る舞うべきかとか、それを内包する社会とはどういうものなのかとか、そこにいろいろ文学的というか人間とは何かを読者に突きつける何者かがあるものだが、この作品にはそういうものが極めて希薄。探偵といっても結局相手にするのはほぼSPESなる悪の組織だけであって、これがもう倒すべき存在というのが最初っから決まっているので、そこで読者が悩む必要がない。で、描き出すのは助手と名探偵を軸とする、こちら側の人間関係がメインなので、もう徹底的に内向きなんだよ。で、名探偵が死んでいるというから、もう取り返せない関係性に対する後悔だとか思慕だとかセンチメンタリズムを含みながらも、それでも失ったものは失ったまま前進していくしかないという側面があるからこそ自分もそういうところに魅力を感じかけていたのに、結局都合よく名探偵が現れたり消えたりするので台無し。というかこの状態を、死んでいる…と規定しちゃっていいの?みたいな。
 まぁ、シリーズは続いているっぽいから、ここで自己紹介や前提条件を説明するのは終わり、以後社会性や人間とはなにかの突き詰めを多く含むストーリーに移行しているのかもしれないが、少なくともこの段階では主人公周りの関係性でいちゃいちゃする、まぁ萌えコンテンツの一種としか考えられないのでちょっと評価は落ちる感じ。せっかくミステリーの構成はよくできているのに、そんなにヒロインとのイチャイチャシーンを読者は求めているんかなぁ。ジャンルがラノベなのでそういうのを求めてないのは回れ右しちゃってくださいってことなんだろうけども。

ぼくリメ#11

 川瀬川のプロジェクトを見るに見かねて口を出してしまい、それでまたやっちまったか?と一瞬勘違いした話。うーん、よくわからん。川瀬川のプライドは傷ついてなかったという結論だが、それがどういう設定によるものなのか。川瀬川の立場としたら、クリエーションの現場にはいるが、決してクリエーターとしての仕事をしているわけではないし、仕事が行き詰まるぐらいなら他人に口を出してもらって改善してもらえるのは社会人としてありがたいとは思えど、それでプライドが…ってのは、部下に示しがつかないってのは確かにそうなんだけど、前回からの主人公との関係性からするとそうはならんというのが示されていたわけで。で、読者には主人公が人生やり直しでプラチナ世代を潰したということは見えているが、川瀬川はそれが見えてないからそりゃ主人公がいきなり感情が不安定になってポカーンなのはまぁアタリマエっちゃぁアタリマエ。ただ、主人公の心配は確かにその通りで、自分も同僚が何らかのトラブルを抱えていてそれをこっそり何とかしたこともあり、逆に自分も助けられたことがあるのだが、極力同僚の権威が低下しないように配慮をしてたし、それは自分が助けられるときもそうなので、自分が、その困ってる同僚よりデキるんですみたいな態度はまぁ普通とらんわなとは思う。かといって、今回のケースだとそうも言ってられないし、川瀬川は立場上業務命令として社長の示した条件の下でプロジェクトを進めねばならず、それ以外のスマートなやり方があるんですよというのは当事者以外の(普通社長あたりが困っていて何らかの解決を模索するのであれば社外のコンサルを呼ぶのがそういうこと)人間が提示するのは、これまたフツーだし、それなりに筋が通ってる。だから社会人にとっては、まぁそんなにこれが展開として誰も思いつかなかったレベルのシナリオなどではなく、トラブルシュートとしては別に特筆すべきようなことでもない。そこに主人公の時間旅行という要素が加わってるから彼の感情がそうなってるというのはまぁこの作品のオリジナリティなんだけど、その部分も学生生活編と比べたら全然悪くはないのだが、正直自分にはパッとしない。
 なので、やはり個人的には社会人編は、こう、サラリーマン向けのガス抜きというか応援歌的なものとしてはごくごくフツー。そういうのがメインなのだったら学生編だけが要らないのであって、でもまぁヒキからすると、そういう話ではないから、次回への展開があるんでしょといったところ。で、次回どうやらまた時間遡行らしいが、それが芸大入学か鹿苑寺と別れたあのタイミングなのか、それともそれより前の芸大になんか行かずに社会人のまま実家に戻っていたあの瞬間に戻るのかぐらいが気になる程度。
 しかしなんだな、この作品、青春群像劇的ななにかと思ったら、もう主人公以外のキャラは主人公を引き立てるだけの道具扱いなんだな。まぁそういう構図にしてあること自体が、主人公勝手に自分で盛り上がって勝手に盛り下がるって展開と鏡合わせになってるわけで、実存主義的というか、読者は主人公と自分を重ね合わせるのリコメンドって感じだが。

死神坊ちゃん#12

 続編決定の巻。自分は全く予想もしてなかったからなんか意外。母親にアリスのことを言い放って別邸に帰るという展開は、松山中学で卵を投げつけて退職し、東京に帰っていった展開に沿わせてあるので、なるほど元ネタに対応させて終わりかとまで思っていたから、まぁフツーに続きが気になる人は原作読めENDだと思ってた。いちおう、アリスのお陰で生きる希望を得られた…つまりアリスの薫陶を受けたという構図と、清のお陰で、長いものに巻かれて信念を枉げるよう世間ずれすることはなかった坊ちゃんとも対応してたので、キレイに本歌取りできてるじゃんってなもんで。
 ただ、これはこれで別の作品ではあって、例えば母親が長男を愛してないはずがないのであって、母親は母親で前近代の象徴であり、息子娘たちは近代的自我の象徴ではあって、この作品が元ネタとは別個に示してる要素はそこかしこにある。
 でもまぁ、昨今のアニメ作品がそうであるように、人気が出たから続編決定ではなくて、最初っから2クール作る予定で、それで1クール目があまりに人気が出なかったら2クール目がまるまる赤字になるから予定の2クール目をキャンセル扱いって感じで、もともと続編のハードルが低かったのを、順当にクリアしたってだけなんだろうね。自分も視聴前はたいして期待してなかったのだが、数話視聴してこれは悪くないと思っていたからこれまたフツーに嬉しいという感じ。