スパカブ#11

 椎がすっころんだのを小熊が助け、より一層距離が縮まる話。よーわからん。まず、携帯電話を持っていて、椎が救助を一番最初に求めるのが彼女の親でなく、なんで小熊なのか。店をやってるぐらいだから当然にして自家用車を持っているだろうし、家というか店に電話ぐらいあるだろう。しかも救助を求められた小熊も、助けるのはまぁいいとして、なんで真っ先に椎の親に連絡しないんだろ?。親がなんか旅行に行ってるとか、仕入れかなんかで店を開けていて連絡が取れなかった…という風にも見えない。どうしても小熊が椎を助ける必然性があるのなら、そういう状況を整えてればいいのになんでそういうエクスキューズもしないんだろ?。川に転落して、道とは結構落差があったが、アレ、骨折してたらあんな運び方はNGなのでは?。
 しかも冬が早く去って春が来ないかみたいなポエムもあったのだが、カブを得て世界が広がった小熊にとっては、昔の自分が冬であって、今の自分は春なのではないか?。自分がバイクに乗っていたときは冬の寒さは単に体が冷えるから嫌なのであって、なんか今回のポエムだと、やはり今の状態が冬であって、もっと状況が好転することを春と表現してると思うのだが、やはり小熊が今、なにか抜け出したいようなひどい状況下にあるとも思えん。
 椎も椎でよくわからんのだが、一つの可能性として、カブに乗ってる小熊や礼子にあこがれていて、自転車にしか乗れない自分を冬の状態と喩えてるんだろうなとも思うんだが、それだと自転車が壊れてしまって沈んでいるように見えるのはどーなの?みたいな。父親から自転車を押し付けられて嫌々乗っていたのを、最近吹っ切れて自転車に乗ることを楽しめるようになったとかそんなのか?。でもママチャリに乗ってた小熊を追い越す椎の表情にはそういう様子は窺えなかったんだよな。いやまぁ過去の小熊がカブを得て冬から春になったのを、自転車で満足してた椎にとってはカブで楽しむ小熊や礼子を見て、春から冬になったという対比なのかな。
 ちょっと前に、ネットで一年以内の二人乗りは交通違反なのでは?というのが話題になっていて、それは気にならなかったのだが、前回これ自転車sageなの?と気にかかっていたのが、今回の親にすぐ連絡しなかったという不自然さがそれらより一層気になって、どうにも意図がつかみかねる感じ。
 ただ、構図的に、今回メインキャラ三人が小熊のマンションに集合するあの状態は、昔の村落共同体における「娘宿」(男でいえば若者宿)の機能に近いんだよな。小熊には親がいないし、礼子は親はいるが一人暮らし、椎は手伝いとはいえ店で働いてはいるが、今一家庭内での自分の立ち位置がはっきりしない感じで不安定な存在になってる。なので、これは少女たちの自立の過程を描写しているのであって、椎の春を望む心理状態は、独り立ちしたいという願望の表れなんかなという気がしないでもない。でも自立への方向性が、冬から春という季節の移り変わりで表現するのも今一しっくりこない感じはある。

86#1~10

 そろそろ最終回を迎えた作品も多いし、視聴するつもりがその機会を失っていたもののなかからチョイスして視聴してみた。結構オモロイ。最初の
の風景に、路面電車だか、トロリーバスなのか、電気駆動用の架線のある街ってベルリンなんじゃね?と思ってたら、もう内容がまんま戦間期のドイツのネタがふんだんにあって驚いた。ユダヤ人差別、アンネの日記、夜と霧、懲罰大隊、その他いろいろ。差別構造を定着させるのは政府のスピンコントロールなのだというほのめかしをしながらも、最近のラノベの二つの傾向のうち、市民革命よりは逃走を選んでるのがらしいといっちゃぁらしい。
 しかし、原作小説あたりは、アニメで描写している風景のような表現にしているのだろうか?。共和国ゲートシティ内の風景をベルリン風味にしたのは、まさか小説であんなに詳説してるともちょっと思えないので、アニメスタッフの判断だと思うのだが、そのへんアニメの表現は表現でいいんだけど、もしかしてテキストで読んだ方がこの作品の場合ベストチョイスなのではという気がした。声優の演技も、軍隊口調と違っていて、リアリティはないといえばないんだけど、軍隊口調、ものすごく暑苦しいのでこれは一般人の口調に翻訳してると思うのだが、個人的にはこの演技のほうが好み。割と前線隊長の演技は感心しながら聴いてた。ハンドラーの女性士官のほうが激情的過ぎてもうちょっと抑えて欲しいなと思っていたのだが、終盤にきてキャラが鍛えられて凄みを増してるように思うから、これおそらく落差を表現してるのかもと思った次第。
 書店に行ったときにポップ広告を見てちょっと気になっていたのだが、書店でそういう扱いなのだからなるほどそれなりの内容だったのねという。今期のアニメの中でもかなり出来の良い方で、なんで今まで機会を失ってスルーしてたのかちょっともったいないことしてたなという。ただ、最初はほんとうに情報開示が不親切で、話を重ねていくごとにベールを剥いでいくから、一気見みたいなことをしなければ、最初の数話はやきもきしてたかもしんない。