聖女#11

 出張先でのあれこれ。なんか次回最終回とは思えないほど盛り上がらんな。ただ、個人的には王国にとっての魔物の脅威がそもそも深刻だという説明もないし、セイにとってはイヤボーンですべて片付く問題なので、むしろ平常運転でいてくれたほうが安心して視聴できる。次回サブタイが帰還とあるので、それが王都への帰還で済むのか、それとも日本にまで帰るということなのかそのへんよくわからん。このまま話を続けていてもあんまり広がる要素が少ないように思うのだが、連載は続いているようだし、フツーに俺たちの戦いはまだまだこれからだENDなのだろう。とはいえ、別に話が広がらなくても、こう時々驚きの体験がありながらも基本的には穏やかな日常、変化といっても会社員が体験する程度のものであって全然構わないというか、セイがOLだったということからもターゲット層が望んでいることはジェットコースター的展開でもなかろうから、むしろ起伏に乏しいのが本作の魅力ではなかろうかとは思っている。敵をインフレさせて、そういう困難に対応することこそが成長なんだと言われても…みたいな。いやまぁ今回登場のスライムが、他の魔物より強敵というのにはそうきたかみたいなものがあったのだけども、モンスターの序列なんてどーでもいいんですよってことなら至極納得というか。
 次回そんなに話が大きく動くってこともないから、まとめっぽくメモっとくと、こう社会から大きく逸脱することなくどちらかというと歯車としてまじめに働いてきたOL向けに、ちょっとしたトキメキを与えるって感じの作品だったかなという感じ。アイラにご執心の王子様とか描いてきて、まぁそりゃ男は若い女をちやほやするよねみたいなちょっとした嫉妬があって、ただ、OLだって女子高生だった時期はあるのだから、それは女子高生本人に責任がある*1のではなく、女子高生だからといってもてはやす側の責任でしょみたいな話の流れにしてある。萌えアニメにおけるヒロインの媚び媚び描写ほどあざとくはなく、しっとりした流れではあるんだけど、基本欲望充足型の作品だと思う。こうやって終わってみると、視聴前に自分が期待していた程度のものであってそれ以上でもそれ以下でもなく、まぁこんなものでしょと満足気味なんだが、途中欠損患者を完全治療するシーンがあって、もしかしてこの作品、救いがテーマなのかなと勘違いしたことがあるので、それは過大な期待だったのがわかって、なぁんだという。連載が続いていく先でそういうテーマに切り替わっていく可能性はあるんだろうけど、少なくともこの時点ではそこまでの深さを期待するのは酷だったかな。

擾乱#12

 あんまり救いのない結末でEND。シナリオは大方想定内のものではあったのだが、せっかく葛原が身を挺して守ったのに凛子に刺されるとは。歴史は繰り返すとあったから、おそらく成長した浅陽も咲羽と同じような人生を送っているようなのだが、そのへんどうなるんだろ?。続編が作られるのなら乞うご期待だろうが、あんまり大人気ってわけでもなさそうなので期待薄。徳川政府を倒したのは、市民革命っぽい雰囲気だったけど、九州をフランスに取られている以上、徳川になり替わった政権が長続きしたとも思えないワケで、そのへん世代交代したキャラが活躍する物語という素地はできているから、個人的にはそういうのも見たい気はする。
 慶喜が誰のメタファーかというと、前にも述べた通りドンピシャなのもいることにはいるんだろうけど、日本テレビだということからすると、時の政権にすり寄って一時は権勢を誇ったものの、結局のところそれが仇となって権力は維持してはいるが、おそらく社員からは全く信用されなくなっているだろうナベツネと重ねているのかなと思わなくもない。庶民が苦しむこんな日本に誰がした!みたいな感じでね。まぁそのへんそういう仕込みを積極的に放映側からするのもヘンな話で、そう考えるとオモシロいってだけであんま本当のことだというつもりもないのだが。
 しかしまぁ、こんなダークな雰囲気で、演技もぱっと見辛気臭いし、やたら湿っぽいというか、視聴者がこの作品を見たとしてそれが明るい未来を生きるための希望を与えるって感じでは全然ないのだけども、異能を持っていることだけはファンタジーではあるが、権力勾配に従って振り回されるだけでしかない弱者の悲哀はよく表現できていたと思うし、そのへん暗い現実と向き合ってるだけ、自分の胸に迫るものはあったかなという感じ。

*1:女子高生が若さを武器にして周囲を振り回してるのならともかくそうではないのだからという設定