防振り#8

 ヒキのシーン、メイプルでなくても、なんなのこれ~って展開だったが、まぁおそらくこうなってるのも意味のあることだと思うんで、なんか今回も行間テーマ半端ねぇなって感じ。結構長い時間どうまとめるか迷っていたのだが、やはり下手の考え休むに似たりで、考えれば考えるほど視聴直後に気づいたことを忘れてしまったりするので、まとまりがないまま書き殴ってみたい。
 さて、今回おそらく意図的に視聴者に向けて仕掛けられたフックのうち、重要なのは2つあって、1つは第三層の水を乞う老人と、やはりもう1つはラストの展開。老人のエピソードを見たら、まぁそこそこ勘の働く視聴者は気づいたと思うが、あれ、産業革命期のイギリスというアナウンス。あのシーンが基準点となって前後の話や舞台変化のつながりがわかるようになってる。この作品が、来たるべき未来はこうあっていいんじゃね?というちょっとした理想を示しているのではないか?と思っているが、それは今の世の中がダメであるという判断があってのこと。ならば、我々はいつ社会の構築を間違ったのか?という振り返りがあって、今回、産業革命前から現代(未来)に至るまでの経緯をざっと触れてるんじゃなかろうかと思ったのだ。
 で、Aパート、イズがギルド員が集めた羊毛でモコモコ装備を作ってたが、あれ、工業の近代化以前の家内制手工業という提示。イギリスは霧のロンドンと言われるぐらい日照時間が短く、まぁ端的に穀物生産にハンデのある国で、牧畜が主産業だった。産業革命前は毛織物が主要産業だったし、世界三大肉牛と乳牛のジャージー牛はイギリス原産というほどで、それが牛イベ。メイプルが牛捕獲中に崖から落ちて歯車を拾うが、産業革命前の農業生産による資本の蓄積が工業化の元手になったという提示。
 中盤、バトルシーンがあって悪魔が敵として登場するが、これはちょっと断定しづらいとは思っているけどおそらく資本主義のメタファー。悪魔といえば願いを叶えるのと引き換えに魂を奪うのが定番だが、これ、資本主義というのは人間の欲望のドライブ装置なのであって、欲望を解放することによって人間性を失うというのは、まぁ資本主義の宿痾といってよいもの。メイプルたちが第三層に行くにあたって大木のモンスターが出てきたが、これは一次産業を超克するといった記号であって、いきなりスチームパンク的な第三層、つまり工業化された社会に到着するのだが、実際の歴史はそんなに一足飛びに変化したのではない。イギリスの場合、世界中を植民地にして、世界の海を支配し、南海泡沫事件のようなバブル経済も経験しているわけで、そのへんの数々の黒歴史があの悪魔に集約されていると見るべき。
 さて、工業化された世界である第三層は、まぁその工業化で社会全体が豊かになっているのなら老人が物乞いするはずはないのでディストピアであるという描写なのはまず間違いのないところ。彼のいう1代目の機械に夢と希望があったというのは、本来機械というものは人間の生活を豊かにしたり、作業を簡単にしてくれるという便利さ優先だったということであって、2代目の機械になってしまうと人々が1代目の機械のことを忘れてしまうというのは、産業革命を果たした後、イギリスではカネ儲けのために少年少女が重労働させられて労働者の平均寿命が15歳だったというぐらい従属させられていたというのは教科書に載るほどなのであって、その変化を言ってるのだろう。
 そしてメイプルは機械神とバトルさせられるのだが、これ、イノベーションエスカレーションを示してる。結局大規模な工業化のためには莫大な設備投資が必要なのであって、そのために資本主義も両輪となって発達していくわけだが、これは本質的にテクノロジーの競争になる。古いテクノロジーイノベーションを果たした新しいテクノロジーに圧倒され、置き換わっていく(なので古い機械は残らない)し、それが対立関係にある組織同士で競争が起きると衝突することになるのであって、その最たるものが戦争になる。そして昔だったら(欧州などでは)傭兵同士の小競り合いだったようなものが、いつのまにか総力戦になり、どちらかが滅亡するまでやり合うことになってしまった。その好例が第二次世界大戦なのであって、早い時期に国民が支配者を追い出して逆さ吊りにしたイタリアはそうでもなかったが、ドイツは全土が戦場になり首都にまで攻め込まれて滅亡したし、日本の場合は原爆という圧倒的な力を見せつけられて全面降伏した。
 最後のシーンでは近未来どころか完全にSF的未来兵器を駆使してボスとやりあっているわけなんで、では改めて今回の最初の話を振り返ってみると、モコモコ装備でのんびり牛集めクエストやってたのが、いつのまにか大量のエネルギーを放出し合うSFバトルをやらされているのだから、そりゃメイプルがなんなのこれ~となるのも当然なのであって、やはりどこをどう間違ってこうなったのかという全体の構図を示すことになってる。
 炎帝ノ国とメイプルのギルドとの違いもそこそこ面白いんだけど、なんといっても今回の近代のおさらいという大きな構図と比べるとそんなに扱いは大きくないかな。しかしこんな展開でのヒキの上に、メイプル、機械神倒してまたもあやしげなスキル貰っただろうし、次回どうするんだろ?。



 そして今回の見所はなんといってもラスト機械神とバトルするエロかっこかわいいメイプルちゃん。コスチュームというか装備が、色使いはぜんぜん違うけどメカデザインがなんか駒都えーじを彷彿とさせる。


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 メイプルちゃん、ロリ体型なんだけどこういう無自覚エロみたいなのが素晴らしい。


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 陸上のセパユニっぽいコスチュームにメカを装着する感じ。ボトムはブリーフタイプではなく、いわゆるボーイショーツってタイプのもの。股上が浅くなるように中心が切れ込んでるが、実際のショーツは上側にゴムが入って水平になるのが普通なので、実際にこういうデザインのものを作るのは難しい。


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 別に宇宙空間にいくわけじゃないから気密服を着ろっていうわけでもないが、やたら肌露出が多いという。


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 メカデザインは、効果音も含めてガンダムっぽい雰囲気。


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 あおり構図多い。


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 俯瞰構図もあるけど、煽り構図とあんまり違いがないのがオシイ。


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 大胆不敵な笑みを浮かべるとか、戦意抜群に見据える表情とか、絶叫シーンだとか、もういつものメイプルちゃんとキャラが違ってます。


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 オマケ。ショーツ部分の色塗りおそらく間違ってる。初見で自分も気づいたぐらいだから、結構指摘されてるのかな?。


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 戦い終わって着地シーン。


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 バイザー半分開けて、「ほっ」。


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 「なっ」、「なんなのこれ~」。まぁ本人としては知らずにガイド役やらされてただけだからポカーンだろう。原作ここまで描写してるんかいなと思うのだが、気になってワタナベシンイチをggってみると過剰演出で有名な人らしい。率直に言うと、こういうシーンならこれだけお遊び方面に突き抜けてくれるのせっかくだからどんどんやってくれって感じ。これもテキスト媒体ではなく動画表現ならではなんで、アニメにした甲斐があったというもの。