Re:CREATORS 第21話

 どこまでもメタ構造。
 いやぁ、こりゃクライマックスとして比類なき出来だな。アルタイルの狙いは、これまぁセツナのエピソードが開陳されてから大抵の視聴者にはわかっていたことだと思うんだが、ならどうなることが解決になるのかも明らかで、しかも前回のヒキでセツナが現れてからさすがにどんな鈍感な視聴者ですら以後の展開はわかったでしょってなもんだが、わかっていたところで、この劇場型ポエム朗唱はさすがに今までの混乱をすべて吹き飛ばす威力がある。
 この作品を見始めた頃はもうちょっと小手先をひねくった感じになるのかと思っていたんだが、案外直球だったなという感じ。今回の話を見ながら、死後作品が売れた数々の芸術家のことが思い浮かんだのだが、別に生きて作品が売れた作家も、優れた作品を残しながら決してそれが世間の目に触れず死んでいった数々のクリエーターも含んだ上で、それらに対するオマージュが感じられた。たとえ作家が意識的にその作品を通じて具体的なメッセーヂを託していなくても、その作品には何らかの形でそれらは含まれるのであり、それは作家の意図に関わらず世間になんらかの影響を及ぼすのであり、それが今回のチャンバーフェスでのキャラクター達が決して作家たちの思い通りに動かなかったところにも通じていて、なんのかんのいって隙のない作りになっていることにも驚いた。
 メタ構造ついでに言えば、これまでの流れがすべて主人公のインナースペースで起こったことゝ言ってもおかしくない、そういう構造に仕立て上げられているのもこゝに至って驚いた。起こっていることは徹底的にフィクションなんで当たり前と言っちゃあそうなんだが、だからこそ彼の興味関心の範囲内でいろいろ起こっていて、物語のあり方としては普遍性はあるんだけど、なにか社会的問題として一般人にも当てはまるみたいな要素はなかったんだなという。個人的にはそういう方面についての何かしらの言及があるのかもと思っていたんだけど、ないならないでスッキリした。