アニメ終了番組、追加その5

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 〆のエピソードでちょっとは持ち直したか…と思っていたのだが、この最終回、もうダイジェスト風味なだけでなく主人公の今までの成長を台無しにしてしまう振る舞いにあんぐり。しかもあのね商法。続きはOVAらしいが、もしかすると先行放送でわざわざ課金しなくても視聴できる可能性がありはするが、そこまで追っかけるべき作品かどうか。
 最初のエピソードの出来がよかっただけに、中だるみになったのは残念。あとから振り返ってみれば、メインヒロインはともかく、生徒会長や幼馴染みのサブヒロインも、初期設定では主人公より恋愛対象として好きな相手がいただけであって、別に主人公のことが嫌いではなかったわけで、最初っからヌルい話であったわけだ。トラブルがあっても、第三者が誤解を解いてやり、それで主人公を邪険にしてた友人たちが素直に自分の行為を反省し、それでそのことを負い目に思って献身的に主人公に尽くすようになる…とか、もうどこの世界にそういう夢物語のようなことがあるんですか…といった感じで、それだったら、第一印象で嫌われて、もう自分を理解してくれる人のために尽くすが、好意的でない人に積極的に関わることなく自己研鑽に励む戦恋のほうがよっぽど社会で孤立している人の助けになりはしないかという気がしないでもない。
 自分のことしか見えてない人間ほど、思い込みが激しく、だからこそ自分の過ちを決して認めようとしないもんだが、そのへんせっかくメインヒロインが証拠付きで糺してくれてるのに、冷静な貸し借り関係で互いに牽制し合うというのではなく、ただひたすらに情に訴えれば人と人とは理解し合えるんだ…って理念としては美しいけど、現実の人間関係で痛めつけられてる人には鼻で笑われるんじゃないかな。
 で、今、この瞬間にも、悪いことをして、他人から言い逃れできない証拠を突きつけられてもしらばっくれて、責任とるといいながら全然行動に移さずに、何度も人の金を盗むようなのが社会のトップにのさばってるんだからさ、理想を掲げるのもいいんだけどさ、あからさまに政治に絡めなくてもいいからもうちょっと現実を直視しようとぐらいにはいってよいかと思う。結局最後まで視聴したけど、そういうどうしようもない現実社会へのアイロニーというわけでもパロディとして笑い飛ばすようなものでもなさそうだし。4thQ2019の新番チェックの際、どれか一つ期待作を上げろと言われたらコレを念頭に置いていただけになんか肩透かし感半端ない。


 ただ、原作がダメかどうかは判断がつかない。個人的に最初違和感を感じたのがサザンカのポジション。が、仲間サークルでの人間関係がこじれたときに、そのサークルとは関係ない他人の何気ない言動が、無責任だからこそ救いになることもありうる場合もある。ちょうど主人公が悩んでたとき、そのときは何の面識もなかったホースの一言で吹っ切れたように。人間関係が親密でないから、たやすく先入観や噂で判断しがちだが、固定観念になる前に印象が変われば、こだわりがないだけに自分の過ちを頑として認めないこともない。そういった第三者の判断が事態を変える一石になることもありうる。ただ、この作品だとサザンカはあくまでサブヒロインの一人であって上滑りしているような描写なので、立ち位置は絶妙でも物語的に重要な役割を果たしてないように見える。原作をテキストベースで読めばまた違って見えるのかもしれないのだが、とはいえ、この作品、原作者がシリーズ構成も脚本も担当してるんだよな…。