なんか今週はさいころの出来がよさげ。

 慎重勇者まさかの総集編二回目。制作進行上のといってるからまぁ納品遅れで間違いないだろう。司書もやはり身食いに感情寄せ過ぎで、ここまで来ると病気というより、中世あたりにあった悪習かなんかのメタファーなんだろうかと勘繰りたくもなる。しかし司書全14話かぁ。年末進行だから普通全12話にしちゃうと思うんだが、確かにこれでは尺が足りないとは感じる。とはいえあと3話で本づくりまでやれるのかどうか。また変則2クールなのかね。
 さて、さいころ倶楽部、今回は割と出来が良かった。翠がゲームをリファインする話ではあるのだが、基本的に彼女がやったのはおそらく無意識にインテリアフロアマネジャー坂本の思いを具現化したという話であって、あんまりゲームそのものに対する完成度その他の要素は薄いように見える。翠が家具屋の社長令嬢ってのもなんだかなぁといったところなのだが、それはさておき、彼女自身は家具そのものに対して基本無関心であって、たまたま坂本の思いに触れた記憶をモチーフにゲーム化が浮上していたんだろう。そして坂本自体は翠のゲームに対する思いに関してはおそらく何も知らない状態。ところが、坂本の家具への思いというのが大人としての生き様として翠に有形無形の影響を与えていて、それがその当時ははっきりした形にはなっていなかったんだけど、ゲーム化を通じて人々の家具に対する関心という切り口で社会を再構成してみせるという顛末になってる。坂本を一つのハブとする家具ネットワークと、翠を一つのハブとするゲームネットワークは全然コミュニケートしてないんだけど、そういうネットワークの埒外にある坂本と翠の関係性がゲームという一つの成果として結実してしまうというのが結構面白い構造。ゲームデザイナーとしてやっていくためには、自分の過去の経験や動機がないと社会をある切り口で再構成できないというのは致命的なはずなので、これは一つのファンタジーでしかないんだけど、翠が仮にゲームを作る時には、今回プレイヤーとデザイナーを重ねてみせたけど、今度はプレイヤーの動機を想像できるようにならなくちゃいけませんよというだけの話であって、提示自体はいわば一つの完成形。
 あと今回感心したのは、坂本だけじゃなくて、店長やヘレスフォード、そして同年齢帯ながら精神的には大人のエミーリアなどの大人のあり方に触れて、翠が大人に成長していくという形もまた世代を通じていろいろ受け渡しがあるって描写になっているとこ。そりゃ主人公が置いてけぼり感を持つのも当然というか、成長モノとしては自然な展開。
 お話的にはゲームが出来上がるって形になってるけど、それがゲームでトップを取れたら嬉しいだとかそういう話ではなくて、結局の所家具を欲しいという気持ちやコーディネートしてワクワクするという感情を具現化していくというその過程に注目させるところにキモがあるのであって、おそらくゲーム自体は目新しさが無くなってしまえば飽きる性質のものではあるんだろう。そして今回は割とそのへんの埋め込みがそこそこバランスよくて見てて心地よかった感じかな。