なんか超余裕が熱いねぇ。

 相変わらずのご都合主義なんだけど、前回今回とやたら熱かった。正直設定からして目新しいものはないし、ぱっと見ですら今流行りのものを寄せ集めただけなのに、なんでこの作品がアニメ化されるんだろとは思っていた。ので、つまらないことを再確認するためだけに視聴してきたようなものなのだが、どうも具合がおかしい。
 異世界から高校生がということなので、メインキャラクターの高校生たちは所詮異邦人でしかないのだが、起点となったエルム村、それから現時点でのドルムントやフィンドルフなど、「先進技術の移転」や「資本主義経済の導入」と、今までの流れで示されているこの舞台設定、これ、どう考えても明治維新以降、西欧の技術を移転し、政治形態や経済運営まで真似て発展してきた「植民地獲得のための侵略戦争をしなかった」日本を示しているわけで、なるほど前回からの流れは、市民革命が必要な現代日本*1について述べていると考えるしかないわけで、そのへんの構造が把握できてしまうと俄然視聴意欲が湧いてきたといった感じ。
 そうなると、本作は万人に近代市民意識を啓蒙するために、何を素材としてどういう提示方法をしなければならないのかについて原作者なりアニメスタッフがどう腐心しているのか?というのが視点に加わってくるわけで、本作の構造がありきたりなのは、むしろ小難しい世界観や論理構成をしてしまうと客を逃がすだけで、届けたいメッセージが敷居の段階で躓いて伝わらないからということに気付く。
 となると、前回の色気違いの領主もデフォルメが過ぎるし、今回の宗教の扱いもとんでもないし、娘のために隠居する隊長もありえんだろにしかならないのだが、それはあくまでわかりやすさを重視しただけであって誤解が極力生じず概略さえ示すことができればそれで用は足りると判断したというだけの話であることがわかる。逆に、現在進行形で行われている日本の不正の殆どは極限すればそんな単純なことになっているのになんで気づかない?という主張にもなるわけで、この作品の場合、ディテールに注目したらその時点で負けなんだろうなと思う。



 ヘンな話だが、最新話の段階ではこの作品のほうが俺好きより好感度が上がってる。今の政権がバカを騙してやりたい放題なのを、そのバカ相手に必死に啓蒙活動してるんだよなと思うと、ではどういう苦労をしてるのかというのが気になる。が、俺好きはどう考えてもこの作品よりストーリー展開も巧みだし、キャラに背負わせてる記号の処理の仕方もスマートなんだけど、現時点ではジェットコースター展開で視聴者を楽しませるという目的で主人公の思春期のおバカ男子が振り回されているだけって構造なので、なんとしても視聴者にこの思いをわかってほしいという熱量の比較をすれば超余裕のほうが圧倒してる感じ。もちろんまだアニメ版では序盤の段階であって、基本的には仕込みの段階だと思うんで、これからの展開でまた立場が逆転することは大いにあるわけで、個人的にはなかなか視聴前の先入観やら序盤の途中経過の段階でその作品を断じてもなぁとしみじみ思ってる。

*1:しかも民衆が痛めつけられているのは外敵の存在ではなく、国内の上部構造によってというところまでふまえると明らか