YUNOラス前

 最終回を視聴してから全体感想という形にしようと思っていたんだけど、どうももやもやするので、今の頭の混乱状況をメモする目的でまとめてみることにした。


 初回から思っていたことなんだけど、ループものの物語でやるべきことをやっているが、センスが古く、これを今なんで世に問う必要があるのか不思議に思っていたが、これ、ラス前の今でも抜けてない。現代編がほぼ主人公周りの危機的状況をなんとかするという構図になっていたのに対し、異世界編では事ここに至って世界の危機を救うことになっていて正直ポカーンな気持ちである。もちろんテキスト上、ちゃんと手続きは踏んでいるのでそのへんの破綻はないんだけど、その世界の危機が現代性を著しく欠いているように自分には見えてしまって、これでは若い層の共感は得られないだろうなとは思う。
 ただ、気になってWikipediaを覗いてみると、原作者の菅野ひろゆきの項に目が止まってしまい、これはまた壮絶な生き方だなと思ってしまった。なので、これは彼に対する追悼作品なんだろうなという気がする。先日友人と話してた際、これを見ていると言ったら、いやそれならアニメ化二度目だと言われて見てみると、制作がピンパイで全4話として作られてる。まぁそんな尺では当然この作品を描くことはできないわけで、しかもピンパイならこの作品では客寄せパンダ的な要素でしかないエロが主体だろうから、思いっきりメッセージ性を欠くことになる。
 ただ、この作品が、ゲーム作品として世に出た当時としてはなるほどここまで構築性の高い作品はなかったろうからエポックメイキングだったことはわかる。なので、菅野ひろゆきの死後、そろそろまともな映像作品に仕立て上げるかと業界横断的に有志が動いたというような流れなんだろうかと思ってしまう。で、追悼作品なんだったらなおさら現代性を増すためにシナリオに大幅な変更を加えるってのはできなかったんだろうなという気がする。個人的には菅野ひろゆきが生きているうちに彼に監修なりシナリオチームに入ってもらってアニメ化しとくべきだったんじゃないか、それができない今となっては恥を忍んで虚淵あたりにシナリオを委託する形でリファインすべきだったんじゃないかなと素人考えでは思う。まぁ原作がリスペクトされるべき作品なのは論を俟たないとは思うが。
 まぁ原作をある程度まともにトレースした映像作品をとりあえず世に残すために作っとけという意味では目的は果たされたといえる。2クール通しで見るには結構体力的に辛いものがあるんだけど、ゲームをやるより時間消費は格段に節約できるんで、大まかに作品世界を掴むってことで言えば確かにアニメはそれに適うものではある。