武装少女マキャヴェリズム 第11話

 なんだ、みんなオトモダチが欲しいだけなのか。
 さすがに物語の方向性がはっきりしたせいか、あとはラストに向かって突き進むだけみたいな感じかね。構図としてマキャヴェリズムと呼べるようなものになってないわけでもないんだけど、個人的にはうーんといったところ。マキャヴェリ、当時の小国分裂状態のイタリアが、特に大国のフランスに蹂躙されるのを目の当たりにして、イタリア統一を夢見て当時彼が注目していたチェーザレ・ボルジアにその可能性を託し君主論を著したと言われているが、天下五剣をまとめあげて強敵の女帝に当たるというのがそれになるんだろうか。でも自分が期待していたのはそういう外形ではないんだよね。むしろ納村が天下五剣を調伏していく過程こそが大事なんだけど、そこにここの問題の本質に切れ込んで合理的に解決していくという部分がまったくないわけではないんだけど、やはりラノベ的なものゝ宿命なのか読者へのわかりやすさを重視して、そこに男女関係の諸々をメインに据えているのでやはり個人的にはコレジャナイ感が強かった。
 今回納村がいろいろなものを貰ったとか言ってたが、これも違和感強かった。彼はどう考えても圧倒的に与える側なのであって、今改めて振り返ってみると、彼はもう最初っから完成された人間なのであって、成長過程が示されているとは思えないんだよね。彼自身の武術も、やはり完成度が高くて、天下五剣との戦いも今となって思えば数ある戦いの中のヴァリエーションの一つでしかなくって、戦いによって彼自身が進化なり進歩したというふうには見えない。物語上、天下五剣との戦いはいちおう苦労してそれを克服するという形になっているが、そういうふうにしないとそりゃ読者飽きるでしょというものであって、単なる見せ方の問題。たゞ、納村が戦いを通じて成長しないというのは、マキャヴェリズムという観点からすると正しいのであって、だからこれは自分も納村が精神的にも武道的にも成長しないのはつまらないとはちっとも思わない。納村は完成されており与える側なのにエクスキューズとして自分は周囲からいろんなものをもらったなんて抜かすからそれは可笑しいと思うだけであって。
 しかしなんだな、こう乱れた国内を統一するってことでいえば、マキャヴェリズムの理想を体現してたのはむしろ信長だったのかなと思わなくもない。但し、マキャヴェリに言わせたら、日本は強力な外敵の脅威がなかったんだからそりゃイージーモードでしょと鼻で笑うとは思うが。