で、リンドリなのだが。

 ゲソ天で新規登録開始という告知を見て、特になんの興味があるわけでもなく事前登録をポチしていた。で、サーヴィス開始ということで、どれどれとざっと確認したら、なんと運営がサクセスではないか。正直経緯がほとんど興味もなく中身も確認せずに事前登録だけしてたものだから、ちょっと目が醒めた感じで確認をしてゲームを始めた次第。ちなみにDMMでは城プロも銀英伝ストパンも事前登録だけはしていたのだが、結局どれも触りもしなかった。城プロは間もなく長期のやり直しに入ったし、銀英伝はサーヴィスそのものがなくなってしまった。シューティングガールだけは事前登録も事前ガチャもやり、サーヴィス開始と共にプレイもしたのだが、すぐに飽きて辞めたという経緯アリ。なので、事前登録をしたゲームはすべてやってみるという方針ではない。女子プロレスという題材も特に興味があったわけでもない自分がサクセスというだけでやってみるかという気になったのは、ひとえにfantastic night dreamsが副題のあのゲームの開発元だったという懐かしさのみ。


 しかしまぁやってみてちょっと面白かったのは、大局においてボタンポチゲーでありながら、工夫がされていたこと。とにかくエリアを周って運営が設定したレスラー(コンビ)と戦ってポイントや納品物を集め、ランキングや納品物の交換でレアリティの高いカードを入手するという構造は一緒なのだが、さすが昔からキャラクターに拠ってゲームを開発してきた会社なだけあって、テキストにある程度重きを置いている感じだ。まだプレイ期間が一ヶ月に満たないので、ゲームを語るには全然情報もプレイ実感も足りないのだが、今やってるワンマッチイヴェントは、キャラクターを抽出して行われる一対一(コンビもあるらしいが)いわゆるタニマチ方式であって、これがこのゲームのウリらしい。
 それとは別に敵と戦うために場所を移動(進む)形式を取っているのだが、このゲームではレスラーをスカウトするために各地を訪問するという体裁をとっている。で、常設や、今であればハロウィンイヴェントゝいうことで、特設のスカウト場所というのが用意されていて、プレーヤーはそこをボタンを押して進めるという形を取る。スカウト場所は大抵5つのエリアに分かれていて、その五つのエリアを「走り」切ると、ボス戦に入るのだが、そこでキャラクター同士のかけあいが用意されている。そのかけあいが、このゲームを特徴付けるものであって、ゲームの世界観が示される。このテキストで上記のワンマッチ、すなわち運営が抜き出した2人(組)のレスラー同士の戦いの導入部分になっている。
 で、ワンマッチにおいては、プレーヤーはどちらかのレスラーを応援する立場を選択する。で、エリアを「走って」敵を倒して稼いだポイントが贔屓のレスラーのポイントに加算され、そのポイントの合計数でワンマッチの勝敗を決めるのだ。重要なのはそこで得られるカードというよりは、そこで決まった勝負の結果を基にして原作者がテキストを書くという構造。ワンマッチで勝ったレスラーは試合に勝ち進んで最終的にはチャンピオンベルトを獲得する流れにすることができるというわけだ。イヴェントに参加したプレーヤー総数が出した結果がいわば小説の方向性を決めるという感じなので、これがプレーヤーが大きな物語に参加しているという臨場感に近いものがあるのだろう。しかしまぁこれも、キャラクターの絵柄や、原作者が設定したキャラクターの初期条件というか性格付けみたいなものが多分に影響するので(というか、そういうのがないとプレーヤーは判断のしようがない)、アニメやラノベにおけるキャラクター性に対する人気投票というだけの話でしかない。が、面白いのは、某巨大掲示板の該当スレを眺めてみると、ゲームの特徴についてのレスが多くなる。例えば艦これであれば海域クリアのための編成だとかシステムについてのレスが多いし、GFであればポイントの稼ぎ方になる。もちろんこのリンドリもシステムやポイントの稼ぎ方についてのレスもあるのだが、ワンマッチイヴェントの行方や、それに伴ってストーリーがどのように変化するのかを予想したり、矛盾に対して言及するレスが多い。プロレスと言えば大体技が話題に上がることが多いのだが、ゲームシステム上そういうのが名前として上げられてはいるが、レスラー同士の戦いに表現されることはなく、単純に数値の処理だけなので、そもそもプロレスの特異性というのをゲーム上で全く表現していないし、やはりゲーム性は皆無といってよい。
 ところが、結果としてみると、これがキャラクター性をうまく活かしているというか、これこそがキャラクター性の本質に迫ってるんじゃないの?とすら思える。小説やアニメ、ドラマや映画がスタッフの用意した固定化したテキストを観客はそのまゝ受け取らざるを得ないが、それがちょっと変化したのがマルチエンディングのゲームや小説である。が、マルチエンディング方式とはいえ、スタッフが用意した選択肢から逸脱することは許されない。が、このような参加者の行為の総意が結果を左右するとなると、もちろんスタッフが結果をある程度想定の範囲に収める必要があって実際には曖昧にしろある程度の選択肢は用意しているだろうが、スタッフはプレーヤーの総意と対話しなければならない。大雑把にいえば、インタラクティブ要素が強い超ライトなノヴェルであると言えると思うが、関与の多寡はあれ、スタッフとプレーヤーの共同作業という要素が組み込まれている。いや、別に手法としてはコンピュータが普及する以前のテーブルトークRPGで使われていた(プレーヤーがゲームマスターの予想を超える行動をした場合、当然ゲームマスターはアドリブで対応してた)ろうから、別にシステムとして新しいというつもりも無いが、基本的に商売としてはサプライヤーは事業は計画性を持たせるのが普通だから、イレギュラーを前提にした方針(イレギュラーな対応は工数が増えるのでコスト増が避けられない)はとりたがらない。テキストライターは自分の構想を立てられないということにも繋がるし、言ってしまえば出たとこ勝負、行き当たりばったりなので、整合性をつけるのに苦労すると思う。該当スレを見ると、やはりそのへんカツカツでやってるっぽくて、時々テキストが出来上がらなくて納品が遅れるということもあるようだ。大きな物語が消滅して小さなエピソードのデータベース化がサブカルの潮流と言われてたが、その小さなエピソードに焦点を絞って最適化を常時行っていると見てよいのかな。
 まぁもうちょっとプレイを続けてみないと、何がどういう風に機能しているのか、自分が上記のように感じていることが果たして正しいのかということも断言できないとは思うが、自分としては少々毛色の変わったシステムが目の前に現れたので、その違和感を楽しんでいるところ。


 あと、始めるまえにはそれほど意識してなかったのだが、いざ始めてみるとエロコスがなんともHitする。いやまぁ男なのだからそのへん許して欲しいところで、しかもファンタジー要素が強い題材で、例えばビキニアーマーだとか見栄えはするが、戦いの装いとして露出が多いのはどうなのよというツッコみが素で入るし、現実に露出の多いコスチュームで試合が行われているプロレスが題材だと妙にエクスキューズが成り立っているというか。いや、人気キャラクターほどリアリティのないコスチュームなんだけど。そうはいっても、現実とのちょっとした齟齬こそが妄想の発揮のしどころなので、そのへんは題材がそれなりに合致している感じ。
 このゲームだとキャラクターはあまり増えないのだけれども、その代わり同じキャラクターが違うデザインで新規書きおこしされてそれが別カード扱いになってステータスもUPされる(リデザというらしい)。キャラクターもプレーヤー受けしそうな見栄えのものばかりでなく、他のゲームだと雑魚キャラとして雑に描かれるキャラクターには重量級や筋骨隆々とした、むしろ現実のレスラーはこうあるべきなんじゃね?というカードがそれなりに多いので、それとの対比もあってなかなかにして萌える。そういう筋骨隆々としたキャラクターでも、(おそらく)人気が出てリデザの結果美少女化したりするのだから、そのへんうまい感じ。よく言えば幅が広いというか懐が深いというかという言い方もできるし、悪く言えば節操がないのだが、どうせフィクションなんだったら突き抜けてやれという気概は頼もしいと今のところは感じている。