ViVid Strike! 第9話

 こりゃキツいね。
 ひきこもってたリンネが個人的オファーに応じて天岩戸を開ける話。リンネが前回試合に負けて格闘技を続ける気力を失うってのもよくわからんという認識だったのだが、これは百歩譲って、そもそもリンネが格闘技の選手権でタイトルを取ったとしても、それは現実社会での強さを獲得したことにはならず、なぜなら勝つことで引き取ってくれた爺ちゃんあたりが生き返るわけでもないし、強くなることで何かを守るってことであってもその守る対象自体が彼女には存在しないわけで、そもそも強くなるという手段が「何のため」というものを初めから失っており、強くなること自体が目的化してたわけだ。そのためこの引きこもりの時間は彼女がなんのために強くなろうとしてたのかを見つめなおすよい機会であり、その結論として格闘技をやめるという道はそう悪くないんじゃね?とすら思う。で、そうであっても、そのきっかけが試合に負けるってのはどーなのよってところはあって、前回やたら恵まれた対戦相手にルサンチマンを抱いていながら、試合に負けて心をたやすく折られるってのはどーなのよ?とも思うし、いや、対戦相手にダメーヂを与えており、相手は勝ったとしても次の試合を棄権せざるを得ないほどだったのだから、いくらKOといえどもどちらが最后まで立っていられるかぐらいの瀬戸際に近かったのだから、試合内容は決して悪くなく実績はあるんじゃね?とも思うので、あのコーチも負けたことを重大視しすぎで次の試合につなげることを失念しすぎだよねとか、やはりツッコみどころは満載。
 で、リンネの問題点に深く切れ込むこともせず餌を撒いてなんとかなると考えた中島ジムの面々も大概人をバカにしてるし、その餌でほいほい釣られるリンネを見ても、こちらはあっけにとられるしかない。残りの話数を考えてもリンネの挫折とお悩み解決にそう尺をとれないというのもわかるのだが、なら孤児設定だとかいじめられて設定だとかに無理があったと考えるしかない。今となっては、この作品はストーリーよりは格闘技について描きたかったんだろうなと思うしかないのだが、そう考えると格闘技を始める動機として貧乏人が成り上がるための手段(身一つで練習できるからサッカーなどゝ同様、後進国で貧乏人がカネを手にするために目指すものとしてメジャー)だとか、いじめられたからそれに対抗する手段として、もう昔のフォーマットに従ってたゞけなんだろうなという結論にならざるを得ないんで、たとえ古いフォーマットだとしてもちょっと使い方を工夫すれば現代にも応用できるんじゃね?という視点がもしかしてあるのかもとかいう自分の期待も馬鹿馬鹿しくなってきた。
 正直なところ個人的にはもうメッセージ性については挽回不可能なところまで来てると思うんだが、これから起死回生の一手が控えてたりするんだろうか。今回こそが悪いほうの超展開であって、それを良いほうの超展開でなんとかなるとはちょっと思えないんだけどな。