Re:ゼロから始める異世界生活 第15話

 あ〜、なるほど、この世界はいわゆる地獄なんだねぇ。
 たしか地獄はいろんな種類があって、ひとつの地獄で責め苦を負わされるとまた次の地獄に行かされる。しかも地獄の獄卒は鬼。まさか西洋ファンタジーの背景絵で東洋宗教世界を再現してるとは、ちょっと今まで気付かなかったなぁ。まぁそれはともかく。
 なんか微妙なのは首を落とされたスバルが吹雪の中放置ってシーンなんだけど、こう悲壮な音楽で盛り上げるのはよいが、今までスバル死後放棄されてきた世界を描写することがなかったのになんで今更?ってちょっと訝しがってしまう。スバルだけが死んで残りは健在ならまだしも、すくなくともエミリア周辺のキャラクターもすべていなくなってるからかなり意味がない。この作品では死に戻りを挟みはするが基本スバルの意識をシーケンシャルに追っているのであり、今回だけ寄り道をするのはちょっと意味がわかんない。OPもEDもない特別な終わり方だから、これで最終回だよという体裁をとって、一区切りをつけたというか、少なくとも視聴者にこの区切りは特別だというアナウンスをしているわけだが、茫然自失してこの世界に積極的にコミットメントしないという態度をそれほど警告するというのもちょっと自分的には常軌を逸しているように思う。これは小説ではおそらく表現したとしても数行程度だろうからアニメ特有の演出のはず。が、自分はこの演出にはNGを出したい。
 うーん、よくわかんないな。まぁ普通Web素人小説の転生ものだと、大抵自分がいる現実世界からの逃避先として主人公にとって都合のよいユートピアが描かれるものが大半で、そういうのに比べると本作は転生先は決して主人公の妄想俺ツエー世界でないという意味では一線を画している。が、リセマラはどう考えても禁じ手だし、セーブポイントが恣意的に見えるところからすると、スバルに死に戻りをさせている何物かは、おそらくスバルにたった一つの正解だけを求めているように見える。人生は別に正解は一つではないからその窮屈さはなんだよと思うしかないが、もしかするとこの世界でのスバルは彼自身がもついろんなリソースが低すぎて、本当ならいろいろある解決方法の中でも一番達成しやすいものだけしかなぞることができないってだけなのかもしれないが、それにしてはどうにもスバルじゃなくても他のステータスの高そうなキャラを持ってきたとしてもハードルが高すぎのような気がしないでもない。他の作品も大抵転生前の様子がもうちょっと描かれているが、これは具体的な描写があまりに少なくて、むしろ転生後のこの世界のほうが厳しいんじゃないかとすら思える。どうなんだろうな?、例えばもし、スバルがこの世界でエミリアと関わりあうことなく小市民的な暮らしを望んでそのように行動したら、死に戻りをスバルに課している存在はそのあり方を許すんだろうかねぇ。転生前のコンビニでのゆったりした日常を送っていたと思われるスバルの姿から考えると、むしろこの転生後のファンタジー世界こそが厳しい現実のメタファーなんだよという主張なのかもしれないんだが、そう考えるにはそういう判断をするための証拠というか意味づけが弱いというか、全く無いように思ってしまうので、個々のエピソードに感情のスイッチを押されているなという実感はあり、なるほどその技術は適切に使われているとは思うんだけど、なんか本筋を外しているような気がしてならない。なんか出来の悪いアドヴェンチャーゲームを傍から見ている感じなんだよな…。
 なんかこゝんとこ、自分的にはWeb版のほうがあまりわだかまりなく読んでいたような気がする。アニメ版のように感情の起伏を激しくした表現だとその感情を導き出した行動があまりに稚拙に見えてしまう。というか自分はWeb版を途中まで読みはしたが、商業書籍化した分はちっとも読んでないし、Web版と書籍の違いを比較評価した評判も仕入れてないから、もしかすると書籍化でWeb版と大いに違う部分があるのかもしれないな。自分はWeb版しか読んでないからそれとアニメを比較するのはもしかすると不適切なのかも。いっそのことアニメ版単体の出来として評価するほうがよいのかもしれないが、まぁそのへんは今更ってところもあるのでご勘弁を。