弱虫ペダル Grande Road 第24話

 最后、母ちゃんと委員長の出番なかったな。
 えーっと、小野田が勝ったのは真波がキャプテンの指示を無視して重たいギアを踏んで自滅したから?。とはいえ、高体連の規定で、高校生はあまり重いギアをつけることができないので、10段だとしても足を壊すほどでもないだろう。そういやもうかなり作品の発表から時間が経ってるので、キャラ達の乗っている自転車はどれもこれも型遅れになっていて、今となってはオクでも入手が難しくなってるものが多い。
 なんかこう視聴したあとは、してやられた感は大きい。基本感情のスイッチをどう押せば視聴者を泣かせることができるかというのが見え見えで、構造はかなり単純なもの。自転車モノとしては第1期からすると入門者に説明しながら、レースも基本構造は踏まえながらもリアリティは少なめ。とはいえ、どう考えても理念先行型なので、リアリティは鼻くそほどのかけらがあれば十分なのは当然かな。小野田が田所を連れてくるのも、最後尾なのにそこからトップを取るとかアレなんだけど、逆にそういう非凡さがないと物語にはならんわな。
 理念といえばインハイという題材設定が適切で、特に自転車競技で一位をとるということは意識的に一人以外を犠牲にする競技であることが作品中で言及もされるし、その末の優勝なんだという流れも説得力がある。欧州プロレースなんかでも勝ったのは誰それでという言い方をされることが多いが、どのチームが勝ったという言い方はほとんどされない。そして実際にプロだから賞金を貰うわけだが、優勝したチームで賞金を分け合うというよりはほとんど優勝者が総取りするようになっているわけで、そのへんジャージを届けるってキレイ事は栄誉が個人ではなくチームに与えられるという要素が強い高校生の大会に設定したのはなるほどではある。本当ならアシストがチームの部品なら、エースも部品でしかないんだよね。でも、日本においてもプロ野球は集団スポーツなのに、トラキチという慕われ方もするのだがやはりスター選手あってのチーム人気という側面は大きい。で、結局「チームのために何でもします」といって下支えばかりやってた小野田に優勝させるのはかなり恣意的なものを感じる。
 でなんといっても面白くもありズルいところでもあるのが悪役の見せ方。御堂筋も待宮もそうなのだが、彼らに同情的な過去を背負わせていながら、人当たりがキツイ設定になってる。で彼らが口にするのは「圧倒的な世間的正しさ」だったりする。彼らの台詞は耳に痛く刺さるのだが、おそらくその内容は視聴者が大いに賛同できることであったり、そうでなくても自分でそう言い聞かせて周囲に同じような対応をしている姿を思い起こさせる。この作品中、誰も彼もがキレイ事ポエムを抜かすものばっかだったら飽きが早く来るだろうが、彼らの言動のおかげで料理に香辛料というかもっと基本的な調味料が加わった効果がある。待宮は最后で日和ったなと思ったが、御堂筋は清々しいほど突き抜けてるのがよい。
 まぁそんなわけで、こんな単調なと言ったら言いすぎだが、でもなんというか、こうキレイ事も獣性も含めて勢いを凝縮してますって感じがなかなかといったところ。こんなにベタなのに目が離せないってのはやっぱ作品の持つポテンシャルがそうさせるんだよなとしみじみ痛感させられる。あ〜、蛇足だが、あまりの人気に舞台になってるらしい。いつぞやなんかの記事を目にしたが、舞台上俳優が「エア漕ぎ」するシーンがあるとあって、仕事とはいえ俳優も大変だなぁと思った記憶がある。