なんかまた教育関係で政治屋が喧しいですなぁ。

 んHKで学校選択性の見直し、あと某巨大掲示板で橋下のパフォーマンス。いちおう某巨大掲示板は見出しだけ挙げておくか。

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 うーん、一番上は今スレが20を越えたぐらいで、あと5〜6、もしくはスレが立って2〜3ぐらいのところが半々。全部チェックするのは大変だろう。自分は下から二番目のスレに目を通した。もうすぐDAT落ちすると思うが、いちおうリンクを貼っておく。っつーか、日経株価がいわゆる語義通りの暴落最中で、経済がめちゃくちゃになっているという宣伝がやかましいのにもかかわらず、教育関係への関心が強いよな。
 整理できるかどうか自信がないが、とりあえず問題となっている点は、

  1. 私学助成金の削減
  2. 日教組(組合潰しも含む)への攻撃
  3. 学校現場の建て直し

 まぁ正直橋下にとっては人気取りのパフォーマンスというのが動機の大半だろうが、結構示唆に富む内容を含んでいる。さすがにマスコミ露出が多かっただけに、ここいらに来て世間を炎上させる勘所をつかんできたというイメージは強い。強制執行で芋掘りを邪魔したという失点を取り返そうと必死ではあるよな。
 さて、んHKの話題である学校選択性だが、東京で実施され、どうも惨憺たる結果になっているようだ。Wikipediaも見出しの抜粋にとどめる。

曖昧な根拠による学校選択
学校間格差の固定化
教職員へのストレスの増大
地域社会との紐帯の崩壊
個性的な教育実践を可能とする制度設計の不備

 ちなみに、

 2005年の内閣府の調査によると、保護者の64.2%が学校選択制の導入に賛成している一方、反対している保護者は10.1%であった。学校選択制の導入に賛成する理由として最も多く挙げられるのは学校間の競争によって教育内容が向上するのではないかとの期待である。一方、反対する理由としては学校間格差の拡大が主に挙げられる。

 ということだ。結果として10.1%の保護者がドンピシャで、64.2%の保護者が間違っていたということになる。実際に学校で起こったのは、学校間の競争による教育内容の向上ではなく、特色や実績のある学校を選択する生徒側の競争であったのだろう。目的意識や質の高い生徒が数多く入学すれば、当然教師側でもそのレヴェルに合わせて質の高い教育を施しも出来るだろう。一方、他の学区からしかたなく流れてきたような意欲の低い生徒を相手にするのであれば、教師の側でも手枷足枷がきついということになる。実績のある学校はさらに実績を上げるだろうし、人気のない学校は上澄みが抜けた分実績を挙げるのが難しい。同じ教師がレヴェルの高い学校と低い学校で同じような教え方をしても、片一方はほっといても自主的に取り組み、もう一方はどれだけ手をかけてもやる気が出ない生徒ばっかりということになる。教師にとってはレヴェルの高い学校は仕事をしなくても勝手に進学実績が上がるが、レヴェルの低い学校だと死ぬほど頑張っても成果は出ないわけだ。で、橋下の問題に繋げると、この後者がガンだと知事は思っているのだろう。
 米軍に払う金があるなら私学に払えといった学生の話にしても、ちょっと聞きだとたしかにそんな無駄金を合衆国に恵んでやる必要もないわなと思ってしまうのだが、よくよく聞いてみると、大阪は公立の学力が結構高く、私立もレヴェルの高い学校はあるのだが、レヴェルのそうそう高くない私立に行っている生徒が噛み付いたとのこと。確かに「金が無いんだったら、公立で頑張るべき。私立で楽をしようとするのなら金をケチるな。」と言った橋下は筋が通っている。
 日教組への攻撃はこりゃ人気取りが大部分なんだろうが、橋下に理がないわけではない。結構日教組あたりの教師は生徒のためを思って熱心なのもいると思うのだが、結局勉強の出来ない落ちこぼれ生徒に手をかけすぎて、その落ちこぼれに恩を仇で返されたという部分はあるだろう。もちろん日教組と言っても政治色の薄い教師もいるだろうが、そうでない活動的な教師の行動原理は「弱者の為に」である。その視点自体はむしろ褒められるべきだと思うのだが、その落ちこぼれ層が熱心に指導されて、今の日本の牽引力になるとか、底辺の底上げに繋がったか?と言われると、プロジェクトXのような例もあるが、学級崩壊、学校崩壊、学力崩壊の事態に至っている。弱者に救いの手を差し伸べたはずが、その見返りがモンスターペアレンツだったわけだ。
 体罰容認の発言からすると、学校現場の建て直しも考えているのかなという気がしないでもない。学力テストの結果公開も、自分なんかは学校選択性における学校間格差の拡大や格差の固定につながるので否定的だった。しかし、橋下の「テストの点数が低いと、教師が努力していないことがバれるのが嫌で公開を躊躇っているのでは」という発言も、もしかすると別に学校の教師に問題があるとは思っていなくて、釣りで言ったのかな?と思えなくもない。学級崩壊のクラスを立て直すのも、基本自分の子供が実際に周囲に迷惑をかけていることを保護者が自覚し、手をかけることにあるという事例が多いらしいことを考えると、教師の能力はあまり関係がないということになる。その地域が教育崩壊を起こしていてもそれを黙認し、保護者と一緒になって教師を叩いて教育行政を怠ったということが明らかになるのが、その自治体にとってはマズいと考えたからなのかもしれない。
 んHKの内容もそうだが、結局地域と学校の連携が大切と言ったって、ダメな生徒の保護者は、自分の欲求は学校に押し付けるが、自分の子供の教育には興味がなく、ほったらかしなんだろう。学校はそういう無茶な保護者の要求を聞きつづけてきたわけで、保護者のいう通りにしていたら教育が崩壊した。連携と言ったって学校側は一方的にやられ役になりつづけてきたのだろう。
 橋下も仕事をはじめた当初はやたら公務員を叩いていたが、芋掘りの件ではむしろ行政側に立っていたようにも思う。教師に関してもつい先ごろまで現場を叩き、教育委員会を叩き、日教組を叩いているが、体罰容認の発言からすると微妙に方針変更しているのかな?という気がしないでもない。いくら保護者のほうが間違っていても橋下が有権者の大多数である彼らを名指しで糾弾するわけにもいかないしな。そう考えると、米軍より私学助成の女生徒や怒号の教師は、案外ヤラセかもしんないな。
 前述だが、弱者の味方を旗印に掲げている以上、イジメをする生徒、真面目に勉強するのを邪魔するような生徒などのようなかわいそうな生徒こそ助けるべきだと日教組が勘違いしているかもしれないわけで、実は学校を荒らしているのがその迷惑な生徒自身なんだ…という極あたりまえのことが認知されてくると、事態が変わってくるのかもしれない。