スターシップ・オペレーターズのターゲット層は誰か 原作既読層・未読層

 本作には原作小説があるのですが、このアニメがそもそも原作の購読者層に向けてなのか、原作を知らない層へ向けてなのかももう一つの視点です。映画でもそうなんですが、そもそも小説と映像作品では詰め込める情報量が違います。映像作品では小説に比べ、目で見て分からせるという大きなメリットがあるのですが、逆にいうと絵にできない情報は織り込めない(かとても難しい)わけです。あと、アニメ(映画)は時間が刻々と変化しており、小説ならば自分のペースで情報をすべて取り込むことが可能なのに対し、映像作品では明らかに限界があります。公式HPで水野良氏へのインタビューを流し読みしたのですが、全10巻を予定しており、3部構成の第1部が4巻で終了だそうです。おそらく4巻分を1クールに詰め込もうとしているようです。世間では映像作品の小説化ということも起こりますが、その場合小説は中身がスカスカで、映像作品をしゃぶり尽くすだけで十分なものが多かったりします。しかしその小説ですら2時間分が一冊になるぐらいですから、本作は明らかに詰め込まれるべき分量が多すぎるような気がします。
 他のすぐれた作品ですらそうですが、原作からの映像化はどうしても質の低下を招き、さらに分量から言ってもこの作品のアニメ化は困難が生じるはずなので、既読層ははなっから相手にしていない可能性が強いと思われます。むしろアニメから原作への矢印が強く意識されているのではないでしょうか。アニメを見て少しでも興味を持ったら原作をどうぞ。気に入らなかったらいつでもアニメを視聴するのは止めていいですよ。小説はかなり面白いですよ。という態度のような気もします。ロボットアニメではないのだからキャラクター商品の販売はあまり期待しておらず、小説への誘導がメディアミックス商売の大きな目的の一つなんでしょう。うわ!予算かなり少なそっ。